各国の温暖化対策 1
2009年8月2日 寺岡克哉
いま世界中で、
温暖化対策についての議論が、とても活発になされています。
というのは、
今年の12月に、デンマークのコペンハーゲンにおいて、
「気候変動枠組条約 第15回締約国会議(COP15)」
というのが、行われるからです。
この会議で、
世界各国における、2020年までの温室効果ガス削減目標、
いわゆる「中期目標」が、決められる予定になっているのです。
そして一応、わが国の日本でも、
「2020年までに温室効果ガスの排出量を、1990年比で8%
削減する」
という中期目標が、すでに発表されています。
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※ 注意
しかし、こんどの衆議院選挙の結果によって、日本の中期目標が
どう変更されるのか、まだ分かりません。
もしも民主党が政権を取れば、1990年比で25%の削減になる
可能性が高くなります。
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ところで・・・
今年の6月に麻生首相が、上で挙げた「日本の中期目標」を発表
するにあたり、
4月〜5月にかけて、
市民との意見交換会(いわゆるタウンミーティング)や、
政府が国民にひろく意見を求める、「パブリックコメント」の募集が、
行われました。
そして私も、
パブリックコメントを投書したり、タウンミーティングに参加して、
意見を述べさせて頂きました。
(パブリックコメントで投書した内容についてはエッセイ377、
タウンミーティングで述べた意見についてはエッセイ378に、
書いております。)
そのような訳で、近ごろ私は、
温室効果ガスの削減に関連した、さまざまな事について、
いろいろと調べていたのです。
しかし、それらを調べている最中に、ちまたで良く耳にしたのは、
「日本は、すごく省エネが進んでいるので、これ以上の温室効果
ガスの削減は難しい」
「EUなどの諸外国は、今まで省エネが進んでいなかったので、
温室効果ガスの削減が簡単なのだ」
と、いうような論調です。
しかしながら・・・
そのような、日本の(おそらく産業界の)一方的な見方が吹聴され
る中で、
(EU全体とかではなく)世界各国における、温暖化対策の具体的
な内容については、
ほとんど話題にされていないように感じました。
* * * * *
ところで、また、
先日に、イタリアのラクイラで行われたサミットにおいて、
「産業革命前からの気温上昇を、2℃以下に抑えるべき!」
という、合意がなされました。
もしも、それを本当に実行するならば、
先進国は2020年までに、少なくても1990年比で40%以上の、
温室効果ガス排出量の削減をしなければなりません。
(このことは、エッセイ387の最後の方に書いております。)
しかし、私たちの正直な気持ちでは、
2020年までに温室効果ガスの排出量を、1990年比で40%以上
削減するというのは、
「ほとんど不可能に近い!」という感じが、するのではないでしょうか?
* * * * *
ところが・・・
たとえばイギリスは、2020年までに温室効果ガスの排出を、
1990年比で34%削減すると公表しました。
これは、40%に届かないにしても、かなりの削減量です。
さらにドイツは、2020年までに、1990年比で40%削減すると
言っています。
そして、なんと、
ノルウェーは、2030年までに、二酸化炭素の排出をゼロ(カーボン
ニュートラル)にすると、言っているのです。
ちなみに、これら国々の2002年における、1人あたりの二酸化炭素
排出量は、
イギリス 9.5トン
ドイツ 10.2トン
ノルウェー 9.9トン
そして日本は 9.4トン です。
これらの数値を見比べると・・・
いくら、日本の省エネが進んでいると言っても、
決して自慢できる訳ではないことが、分かってきます。
そして・・・
1990年比で、8%削減などという「日本の中期目標」が、
いかに貧弱であるかも分かるのです。
私たちは、この事実を、直視しなければなりません!
次回から、
温暖化対策に積極的に取り組んでいる、いくつかの国々について、
もうすこし詳しく見て行きたいと思います。
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