ねじれ国会と、はげしい豪雨
2010年7月18日 寺岡克哉
7月11日の参議院選挙で、
民主党は、54議席の改選にたいして、44人しか当選できず、
10議席を減らしてしまいました。
これにより与党は、
国民新党などを加えた、非改選の66議席を合わせても、110議席に
しかならず、
参議院において、「過半数割れ(122議席以下)」に、なってしまいま
した。
つまり、
衆議院では、「与党」が過半数を占めているのですが、
参議院では、その反対に「野党」が過半数を占めるという、
いわゆる「ねじれ国会」に、なってしまったのです。
* * * * *
ところで一方、参議院選挙前の国会では、
「地球温暖化対策基本法案」を成立させることが出来ず、
廃案になっています。
今後、新たに仕切りなおして、
温暖化対策基本法案が国会に再提出される予定ですが、
与党が過半数を占める「衆議院」では、法案が「可決」されても、
野党が過半数を占める「参議院」だと、「否決」される恐れが
あります。
もしも、そうなった場合、
もういちど衆議院において再審議をおこない、
出席した議員数の、3分の2以上の賛成で「再可決」されれば、
法案を成立させることが出来ます。
しかしながら与党は、
衆議院で3分の2以上の議席を持っていないので、
地球温暖化対策基本法案だけでなく、すべての法案において、
与党だけで再可決するのは、不可能な情勢となっています。
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※ 2010年6月21日現在で、
衆議院における与党勢力は、民主党306、国民新党3、日本新党1、
その他1、無所属1の、合わせて312人となっています。
一方、衆議院議員の数は478人であり、その3分の2以上だと、
再可決には319人以上の賛成が必要になります。
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ところで・・・
近ごろまた、「はげしい豪雨」によって、おもに九州から西日本
にかけて、被害が発生しました。
日本の各地で、土砂崩れや、洪水などが起こり、
7月17日現在で、全国の死者が9人、行方不明は5人となって
います。
避難指示や避難勧告を受けた人々は、日本全体で、おそらく
数十万人に上ったでしょう。
この「はげしい豪雨」は、梅雨前線が活発化して起こったの
ですが、
これと、まったく同じ梅雨前線によって、
お隣の国である「中国」でも、洪水や土砂崩れなどが相次ぎ、
大きな被害が出ました。
中国では7月14日までに、
死者109人、行方不明59人、倒壊した家屋が9万3000棟、
被災者は2858万5000人にも上っています。
このように最近は、
台風が上陸した訳でもないのに、台風並みの被害が出るように
なって来たのです。
* * * * *
エッセイ391で書きましたが、
昨年の7月にも、「はげしい豪雨」によって被害が出ました。
つまり近年では、そのような「はげしい豪雨」が、毎年のように発生
している訳です。
このような現象は、「地球温暖化」と、けっして無関係ではあり
ません!
なぜなら、
地球温暖化によって、海水の温度が上がれば、「海水の蒸発」
が活発になるからです。
そうすると、
大気に含まれる水分が多くなり、それだけ雨の量も、多くなる
と考えられるからです。
だから、
地球温暖化が進めば、「はげしい豪雨」が多発するようになる
ことは、
誰にでも容易に予想がつきますし、
さらには、専門家が行っている詳しい研究でも、そのように予測
されているのです。
* * * * *
近年における「はげしい豪雨の増加」によって、
地球温暖化の影響が、ますます明白になりつつあります。
そんな現状なので、
温暖化対策を、可能なかぎり速く進めなければなりません!
そのためにも、
今回の参議院選挙で「ねじれ国会」となってしまいましたが、
なんとか与野党が一致協力して、
「地球温暖化対策基本法」を、一刻も早く成立させる必要があり
ます。
7月13日。
小沢鋭仁 環境相は、閣議後の記者会見で、
秋の臨時国会に再提出する予定になっている「地球温暖化対策
基本法案」について、
野党との修正協議に応じる考えを示しました。
ただし、
温室効果ガスを2020年までに、1990年比で25%削減する目標
を堅持し、
「地球温暖化対策税」、「国内排出量取引制度」、「再生可能エネル
ギーの全量固定価格買い取り制度」についても、
維持したいという考えを示しています。
グダグダとした国会論戦の果てに、けっきょく「骨抜き」にされるのでは
なく、
「しっかりと効果のある」温暖化対策法案が、国会を通過するように
と願ってやみません。
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