なぜメディアは騒がない?
2009年3月29日 寺岡克哉
前回のエッセイ370では、
2100年までの海面上昇が、最低でも1メートル。
さらには、
もしも今のまま、有効な温暖化対策を取ることが出来なければ、
2メートルか、それ以上になってしまうことについて、お話しました。
ところが、
これほど重大で、深刻なニュースなのに、
テレビや新聞などのマスメディアは、まったく騒ぐ気配を見せま
せん!
しかも今は、温室効果ガスの削減について、
2020年までの「中期目標」を決めなければならない、
とても大切な時期なのにです。
これは、全くもって、不可解なことです!
* * * * *
ところで、
今年の12月に、デンマークのコペンハーゲンで、
気候変動枠組条約 第15回締約国会議(COP15)
というのが開かれます。
(COPというのは、締約国会議 Conference Of Parties の頭文字
です。)
ちなみに「京都議定書」は、第3回締約国会議(COP3)で採択され
ました。
つまり、「気候変動枠組条約 締約国会議」とは、そのような流れを
くむものであり、
世界の温暖化政策にとって、ものすごく重要な会議なのです。
(COPには、2007年12月現在で、176ヶ国が参加しています。)
そして、今年の締約国会議(COP15)が、
世界各国における、2020年までの、温室効果ガス削減目標。
いわゆる「中期目標」を決める、タイムリミットだとされています。
しかしながら・・・
COP15で発表するべき、「日本の中期目標」は、まだ決まって
おらず、
それを、6月までに決定するのが、政府の方針となっています。
というのは、麻生総理大臣が、
今年の1月にスイスのダボスで開かれた、世界経済フォーラム
年次総会(通称ダボス会議)において、
「今年の6月までに、日本の中期目標を発表する」との考えを
示したからです。
このように、ものすごく大切なタイミングのときに、
海面上昇についての最新予測が、マスメディアによって大々的に
報道されないのは、
本当に異常なことです!
* * * * *
さて、
6月までに決めようとしている、日本の中期目標については、
いくつかの案が挙げられています。
ちなみに、これまでの世界的な認識では、
先進国は2020年までに、1990年にくらべて25〜40%の、
温室効果ガスの削減が必要だとされています。
だから日本の中期目標は、
最低でも、25%ていどの削減にしたいところです。
ところが、中期目標の案の中には、
1990年にくらべて、横ばい〜3%減とか、
1990年にくらべて7%減などという、
まったくやる気のない案もあります。
京都議定書の目標でさえ、1990年にくらべて6%減なのにです!
さらには、
1990年にくらべて4%増などという、非常にふざけているとしか
思えない案もあるのです。
このように下手をすれば、
まったくナンセンスな「中期目標」が、決まってしまうかも知れ
ない状況の中、
海面上昇についての最新予測が、マスメディアによって大々的
に報道されないのは、
やはり、すごく不可解だと言わざるを得ません!
次回では、
「日本の中期目標」として挙げられている案について、
もうすこし詳しく、見ていきたいと思います。
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