では、どうすれば良いのか? 10
                                2009年3月15日 寺岡克哉


 地球温暖化による、「ものすごく大きな被害」を避けるためには、

 2050年までに、人類の排出する温室効果ガスを、

 1990年にくらべて、半分に減らさなければなりません。

 そのための方法として、これまで「太陽光発電」について、お話して
きました。



 ところが実は、温室効果ガスを減らす対策は、ほかにも色々と
あります。

 しかし、次から次へと、さまざまな対策をどんどん話してしまうと、

 ピントがぼやけて、反って「将来へのビジョン」が見えにくくなる
と思いました。

 それでまず、いちばん有望だと思える「太陽光発電」にしぼって、

 お話してきたわけです。



 ここでは、

 その他に考えられる「おもな対策」についても、ごく簡単に紹介
したいと思います。


                   * * * * *


 省エネ


 これは、もっとも早急にできる対策です。

 だからまず、いちばん先に、取り組まなければならないのは、
言うまでもありません!




 しかも、大気中の二酸化炭素は、

 いちど増えてしまうと、なかなか減りません。

 1000年や2000年では、ぜんぜん元にもどらないのです。

 たとえば現在の二酸化炭素濃度が、産業革命前の値にもどるの
でさえ、

 「数万年の時間がかかる」と言われています。



 だから、太陽光発電などの「新エネルギー」が普及するまでは、

 できるだけ二酸化炭素を出さないようにすることが、絶対に必要
不可欠です。

 このような意味でも、

 いま現在においては、「省エネ」がものすごく重要です!



 しかしながら、

 省エネだけで、温室効果ガスを半分に減らすのは、とても無理で
しょう。

 これから、世界人口が増加して行くことも考えると、なおさらです。

 だから省エネが、ものすごく大切なのはもちろんですが、

 「省エネだけでは十分でない」のも、たしかな事実です。


                  * * * * *


 新エネルギー


 太陽光発電のほかにも、風力、地熱、波力、海流、バイオマスなど、

 「新エネルギー」には、色々なものがあります。



 太陽光発電が、大々的に普及するまでは、

 それらの新エネルギーも、並行して開発を進めなければ、ならないで
しょう。

 (なぜなら、いちど大気中に増えた二酸化炭素は、なかなか元に
もどらないからです。なので、あらゆる手段を使って、二酸化炭素を
できるだけ早期に削減しなければなりません。)



 私は、上に挙げた中でも、とくにバイオマス。

 しかも、

 食品廃棄物、農業廃棄物、間伐材、建築廃材などのバイオマス
から、

 アルコールを作るというのが、けっこう有望ではないかと思って
います。


                  * * * * *


 二酸化炭素の地中貯留


 これは、火力発電所の排気ガスから、二酸化炭素を分離し、回収し、

 それを「地中に埋めてしまう」という対策です。



 いま現在、火力発電所が稼動していると言うのは、否定できない
事実です。

 なので、このような対策も、絶対に必要でしょう。



 しかし、この対策を過信してはなりません!

 なぜなら、単なるスローガンだけで、実行が伴わなければ、

 反って地球温暖化を、さらに悪化させることにさえ、なりかねない
からです。


 とくに近年は、石油の枯渇や、高騰などの問題から、

 「石炭火力発電」の割合が増えています!

 この石炭は、火力発電の中でも、いちばん二酸化炭素を出します。


 しかし、それなのに、

 二酸化炭素の地中貯留は、まだぜんぜん実用化されていない
(実行されていない)のが実情です。


 だから、

 「二酸化炭素を地中に貯留すれば、石炭を使っても大丈夫」

 などと安易に考えるのは、すごく危険だと、私は感じています。



 そしてまた、エッセイ365で考えましたように、

 二酸化炭素を分離回収して、地中に貯留すれば、火力発電の
コストが高くなり、

 太陽光発電の方が、コスト的にも有利になって行くでしょう。


                   * * * * *


 原子力発電


 たしかに原発も、二酸化炭素を出しません。

 だから、地球温暖化による被害の大きさを考えれば、

 このまま化石燃料を使い続けるよりは、

 (最善ではないにしても)原発の方が、まだましでしょう。



 しかし私は、

 いま存在している原発は、仕方がないとしても、

 新しい原発については、これ以上増やさないように、するべき
だと考えています。



 なぜなら、使用済み核燃料などの「高レベル放射性廃棄物」を、

 少なくても数千年は、保管し続けなければ、ならないからです。



 いったい誰が、それを責任もって、保管し続けると言うので
しょう?


 過去の歴史をみれば、たとえ「国家」でさえ、そんな数千年も長続き
した例がありません。

 だからそれは、とても無責任な態度だと、言わざるを得ないでしょう。



 さらに原発は、放射性廃棄物のほかに、

 「大事故」の起こる心配が、どうしても付きまといます。

 また、地震などの心配も、拭いきれません。

 さらに原発は、「テロの標的」や「軍事的な標的」にされる心配も
あります。



 それらを考えると、

 原発を、積極的に推進する気には、どうしてもなれません!



 しかしながら、

 化石燃料に代われるほどの実力をもった、「新エネルギー」が
現れなければ、

 どうしても、原発に頼らざるを得なくなるでしょう。

 そのためにも、莫大なエネルギー潜在量をもつ「太陽光発電」の
普及が、急務の課題だと考えています。

 つまり、

 原発をこれ以上増やさないためにも、太陽光発電の大々的な
普及が、絶対に必要なのです!



                 * * * * *


 以上のように、

 温室効果ガスを減らすための対策は、太陽光発電のほかにも、

 いろいろと考えられています。



 どれもこれも、それなりの場所や条件によって必要であり、

 欠くこと(まったくゼロにすること)は、決して出来ません。

 とくに現状においては、「省エネ」がいちばん大切です!



 しかし、人類が進むべき「将来的なビジョン」としては、太陽光発電
が、いちばん有望ではないかと考えています。

 つまり、「未来への希望をつなぐ代表格」として、最もふさわしい
のが、太陽光発電だと思っているわけです。



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