では、どうすれば良いのか? 6
                                2009年2月15日 寺岡克哉


 人類のだす二酸化炭素を、劇的に減らすには、

 太陽光発電がいちばん有望ではないかと、私は考えています。



 なぜなら、太陽エネルギーは莫大であり、

 43900平方キロメートルの面積に太陽電池を広げれば、

 日本で使われている化石燃料のすべてを、太陽光発電で

 賄(まかな)うことが出来るからです。



 そのためには、全体で439兆円くらいの、お金が必要ですが、

 しかし太陽電池は、「生み出した電気を売ること」によって、

 将来的には4年くらいで、つぎ込まれた費用が回収できるように
なります。



 そして一方、

 太陽電池の寿命は、おそらく30年くらいは大丈夫でしょう。

 だから回収した費用は、さらに太陽電池を広げることに使えます。

 また、回収後さらに発電する分も、さらなる太陽電池の設置費用

 として使うことが出来ます。

 なので、初期にあるていどの資金を投入すれば、

 あとは、新たに金をつぎ込まなくても、

 「雪だるま式」に太陽電池を広げることが出来るのです。



 そして、そもそも、

 太陽電池による発電コストが、火力発電よりも安くなれば、

 「あえて化石燃料をつかってまで、発電しなければならない理由」も、

 消滅してしまうでしょう。


 今回は、そのことについて考えて見たいと思います。


                 * * * * *


 さて、現在のところ、

 太陽電池の発電コストは、市販の電気料金の2倍くらいだと、

 一般に言われています。



 しかし、その発電コストの見積もりは、

 太陽電池を、20年のローンで買うことを想定し、

 4%の金利を、20年間払い続けるとしたものです。



 だからそれだけ、実際のコストよりも「水増し」されています。

 なので、ここでは独自に、

 太陽電池の発電コストを、見積もってみたいと思います


                 * * * * *


 まず、前回のエッセイ364で計算しましたように、

 面積が1平方メートルの太陽電池は、1年間に、

 123.2キロワット時(kwh)の電力を発電します。



 そして太陽電池の寿命は、

 まず20年は問題なく、おそらく30年でも大丈夫だろうと言われて
います。

 なので、ここでは、

 その真ん中をとって、太陽電池の寿命は25年としましょう。



 そうすると、

 太陽電池は、25年の寿命の間に

 123.2×25=3080kwhの電力を、発電することになります。



 そして現在、

 太陽電池の値段は、1平方メートルあたり5万円くらいします。

 なので発電コストは、

 50000/3080= 16.2円/kwh となります。



 ちなみに、市販の電気料金は、23円/kwh くらいです。

 だから本当は、現在すでにもう、

 大規模な、太陽光発電施設をつくった場合においては、

 発電コストが、市販の電気料金よりも安くなっているはずです。



 そして近年(早ければ来年)にも、

 太陽電池の値段が、半額になると言われています。

 そうすると発電コストは、

 25000/3080= 8.1円/kwh となります。



 さらに将来的には、太陽電池の値段が、1平方メートルあたり1万円
くらいになるでしょう。

 そうすると、

 10000/3080= 3.2円/kwh くらいまで、

 発電コストが安くなるはずです。



 もちろん実際は、太陽電池パネルのほかに、

 電力を制御する装置(パワーコンディショナー)や、

 整備や修理(つまりメンテナンス)にも、費用が必要でしょう。



 しかし、面積が100ヘクタールというような、

 すごく大規模な太陽光発電施設では、

 かかる費用のほとんどが、太陽電池パネルでしょうし、

 メンテナンスも集約的に行えるでしょう。



 だから、それらの費用(太陽電池パネル以外の費用)は、

 発電コスト全体からすれば、ほとんど無視できると思います。

 (どんなに多く見積もっても、コスト全体の、おそらく1割以下では
ないでしょうか。)


                 * * * * *


 一方、火力発電のコストですが、

 これは化石燃料の種類によって、すこし異なっており、

 おおよそ以下のようになっています。


 石油火力   12.2円/kwh
 石炭火力    7.2円/kwh
 天然ガス火力 7.0円/kwh


 私は、このデータを最初に見たとき、

 発電コストがこれくらいなのに、電気料金が23円/kwh も

 するのは、ずいぶん高いのではないかと感じました。



 しかしながら「深夜電力」として、

 使われずに捨てられる電気も、結構あるみたいなので、

 結局、それくらいの電気料金になってしまうのかも知れません。



                * * * * *


 ところで、上で挙げた火力発電のコストは、

 「これからは通用しない!」と、私は考えています。

 なぜなら、

 「二酸化炭素の処理コストを、加えなければならない」

 
と思うからです。



 つまり、

 火力発電所の排気ガスから、二酸化炭素を分離し、回収し、

 「地中に貯留する」というような処理方法を取らなければ、

 これからの社会においては、火力発電の使用が認められなく
なるでしょう。



 ちなみに処理コストは、

 二酸化炭素1トンあたり7000円〜1万5000円だと

 言われています。



 そして一方、

 1kwhの電力を発電するのに、排出される二酸化炭素は、

 石油火力    742グラム
 石炭火力    975グラム
 天然ガス火力  608グラム

 と、なっています。



 ここで、二酸化炭素の処理コストを、1トンあたり1万円
(1キロあたり10円)としましょう。

 それを加えると、それぞれ火力発電のコストは、以下のように
なります。

 石油火力    12.2+7.4= 19.6円/kwh
 石炭火力     7.2+9.8= 17.0円/kwh
 天然ガス火力  7.0+6.1= 13.1円/kwh



 それに比べて、太陽光発電のコストは、

 現在                 16.2円/kwh
 近年(早ければ来年)        8.1円/kwh
 将来(2020〜2030年ごろ)   3.2円/kwh

 と、なって行くでしょう。



 このことから、将来的には、

 コストの面からみても、火力発電より、太陽光発電の方が

 ずっと有利になるのは明らかです。



 もしも、現在のエネルギー利権者たちが、

 さまざまな妨害をして、足を引っ張るようなことをしなければ、

 今後、太陽電池が爆発的にどんどん広がっていくのは、

 絶対に間違いありません!




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