地球温暖化の生態系への影響
                                2007年8月5日 寺岡克哉


 地球温暖化は、動物、植物、昆虫、そして陸上だけでなく海の生物にも、
たいへん大きな影響を与えます。

 これからしばらくは、地球温暖化における、そのような「生態系への影響」
について見て行きたいと思います。

 これは、とても広い範囲の話になりそうですね。

 だからもちろん、私にすべてを網羅できる訳がありません。しかし、それで
も、できる限りいろいろな話を取り上げたいと思っています。


                * * * * *


 ところで・・・

 以前のエッセイ210で書きましたが、今まさに、「6回目の大量絶滅」が
進行中です。

 つまり、地球の過去の歴史において、合わせて5回の大量絶滅があった
わけです。
 が、しかし、いま起こっている大量絶滅は、それら過去のものとは比べ
ものにならないほどの「超大絶滅」なのです。

 というのは、過去に起こった大量絶滅はみな、すくなくても数十万年の
時間をかけて、ゆっくりと進行したからです。
 だから当時、まさに絶滅が進行中であっても、その間に生物が進化して
「新しい種」が生まれ、変化する環境に適応して行きました。
 そしてその新しい種が、その後に大繁栄し、地球の豊かな生態系を
復活させたのです。

 しかし現在の大量絶滅は、数百年から数千年という短い時間スケー
ルで、とても速く進んでいます。


 つまり、過去に起こったものと比べると、その100倍から1000倍
もの速いスピードで絶滅が進んでいるのです。


 こんなに絶滅のスピードが速くては、生物進化によって「新しい種」
の生まれる時間的な余裕が、まったくありません。


 だから、いまの大量絶滅が取り返しのつかないほど進んでしまった
ら、その後の生態系の復活は、とても難しいかも知れません。



                * * * * *


 しかもさらに、それに追い打ちをかけて、とどめを刺すように地球温
暖化が襲いかかるのです!


 たとえば・・・ 

 IPCCの第4次報告(第二作業部会)では、1度〜4度の気温上昇によっ
て、最大30パーセントの種で絶滅のリスクが増加するとしています。

 さらには、気温上昇が4度を超えると、地球規模での重大な絶滅が
起こる
としています。

 またサンゴについては、
 1度までの気温上昇でサンゴの白化が増加。
 1度〜2.5度の気温上昇で、ほとんどのサンゴが白化。
 2.5度以上の気温上昇で、広範囲に及ぶサンゴの死滅が起こる。
としています。


                * * * * *


 以上のように、地球温暖化による「生態系への影響」は、とても深刻
です!


 しかし生態系の話などは、人間の生活に直接関係しないので、ふつう
一般の人々には、あまり深刻に受け止められないかも知れません。

 でも、さまざまな生物が、すでに地球温暖化による影響を受け、いろいろ
「警告」を発しているのです。

 その警告が、いまの人類にとって「小さな声」だからと無視していると、
いづれ取り返しのつかない「大きな被害」に発展し、たいへんな事態になる
のは確実です。

 だから、現在さまざまな生物が発している警告には、真剣に耳を傾けな
ければならないと思います。

 それで今後しばらくは、さまざまな動物、植物、昆虫、そして海の生物など
が発している警告について、いろいろ見ていきたいと思ったわけです。



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