我々はどうすれば良いのか 
                                    2007年1月7日 寺岡克哉



 地球温暖化に対して、私たちは一体、どうすれば良いのでしょう?

 それが具体的にはっきりしなければ、どうにもやりきれない気持ちになってしまい
ます。
 というのは、「何かをやらなければならない!」と心で強く思っていても、何をやれ
ば良いのか分からなければ、まったく身動きがとれないからです。

 そして、ある種のストレスと、ふがいなさと、途方のなさに、打ちのめされてしまい
そうになります。それで私は、いつも、そのことが頭から離れないでいるのです。

 今回は、そのようなことについて、日ごろ私が考えていることを、お話したいと
思いました。


                  * * * * *


 地球温暖化は、とても大きな問題です。
 それに対して、人間ひとり一人の力は、とても限られています。

 でも、一人ひとりが実行しなければ、温暖化問題は絶対に改善されません。
 そこに、温暖化問題の本質があると思います。

 もちろん、これは地球規模の問題なので、各国の政府が協力して動かなければ、
有効な対策はとれないでしょう。
 しかしながら、それぞれの国の政府を動かすのも、その国に住む一人ひとりの
人間なのです。

 そしてまた、いくら政府間の国際的な合意が得られたとしても、一人ひとりの人間
がそれに従わなければ、やはり温暖化対策を推進することは難しいでしょう。
 その身近な例では、京都議定書に合意したにもかかわらず、日本の二酸化炭素
排出の増えていることが挙げられます。

 だからやはり、「一人ひとりの行動」が本質的に重要なのです。


                  * * * * *


 それでは、私たち一人ひとりは、いったい何をやれば良いのでしょう?

 私は、まず第一にやらなければならないのは、「問題の深刻さを共有すること」
だと思っています。まず最初に、これが出来なければ、どうにもなりません。

 地球温暖化の深刻さが分からなければ、いくら二酸化炭素をたくさん出しても、まっ
たく気にとめないでしょう。そして、経済発展や生活の便利さを、何の疑問も持たずに
優先させてしまうでしょう。

 エッセイ252でお話しましたが、このまま何も手を打たなければ、第二次世界大戦
をはるかに超える大災害になるのは明らか
です。
 そのような問題意識を、一人でも多くの人と共有し、その輪を広げて行かなければ
なりません。

 そしてそのためには、地球温暖化の深刻さに気がついた人々から、どんどん
声を発して頂きたい
と願っています。

 私のエッセイも、それに少しでも貢献できればと祈っております。


                  * * * * *


 ところで・・・

 これは太平洋戦争からの教訓なのですが、「声を出さない」というだけで、どんど
ん戦争を助長する
ことになってしまいます。

 あるいは戦争に反対する声を、黙殺(無視)したり、圧殺する(非国民となじる)だけ
でも、戦争をどんどん助長してしまいます。

 もちろん、国家権力による言論や思想の弾圧もあったのですが、そこまで事がひど
くなる前に、みんなで声を出さなかったことが、けっこう本質的な原因だったような気
もするのです。

 地球温暖化の問題も、これと良く似たところがあると思います。

 「何もわざわざ、私が声を出すことはない」と遠慮をしたり、
 「面倒な話なんか聞きたくない!」と無視したり、
 「そんな話は他の場所でやれ!」と圧殺をするだけでも、
地球温暖化をどんどん助長することになってしまうでしょう。


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 そしてまた、太平洋戦争では、
 ミッドウェー、ガダルカナル、サイパン、硫黄島・・・ これらの戦闘の敗北により、
日本がどんどん追い詰められているにもかかわらず、
 「まだ大丈夫だ! まだ大丈夫だ!」と自分たちを誤魔化し続けているうちに、
 沖縄が占領され、東京が大空襲をうけ、広島と長崎に原爆が投下されました。

 ここにきて、やっと、戦争を止める気になったのでした。
 これも、貴重な教訓として生かすべきだと私は思っています。
 なぜなら地球温暖化の問題も、それと同じ道をたどっているような感じがするから
です。

 たとえば、地球の平均気温は年々上昇し、海水温が上がり、日本では長梅雨に
なったり、激しい豪雨が増えています。
 また世界では、ヒマラヤやアルプスの氷河が後退し、南極や北極の氷床が縮小
し、シベリアやアラスカの永久凍土が融解しています。
 そして南の小さな島々は、海水面の上昇によって沈んでしまいそうです。

 これら、すでに地球温暖化の兆候が現れているにもかかわらず、
 「温暖化は、二酸化炭素が原因ではない!」とか、
 「まだ、地球温暖化の影響は明らかになっていない!」
などと自分たちを誤魔化し続けていれば、さらに大きな災害が、必ずやってくるで
しょう。


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 とにかく先ほど話したように、「声を出さない」というだけでも、地球温暖化をどん
どん助長してしまいます。

 しかしながら「声を出す!」と言っても、皆がみんな、世間の矢面に立って大声を
出す必要もないのではないかと思います。

 日ごろから知り合いの人と、地球温暖化のことを日常的な話題にするだけでも、
ずいぶん世の中が変わって行くと思います。

 つまり、芸能界やスポーツ、健康法や健康食品、ダイエット、化粧品、流行の音楽
やファッションなどと同じぐらいに、いつも地球温暖化のことを日常的な話題にする
のです。

 そうすれば、耳よりな省エネ方法や、地球温暖化の最新情報などが、自然に身に
つくようになるでしょう。


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 このままだと・・・

 遅かれ早かれ、大自然がどんどん猛威をふるうようになり、人類はそれに屈服せ
ざるをえなくなります。

 そして最終的には、政府も、国民も、世界の国々も、すべての人が動かざるをえな
くなるでしょう。その時は、いつか確実にやってきます。

 その時期を、少しでも早めること。

 とりあえずそのことに、私たち一人ひとりの意識を向けるようにすれば、良いの
ではないかと思います。



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