家庭における省エネ 2006年8月20日 寺岡克哉
今回は、家庭における省エネの可能性について、考えてみたいと思います。
早速ですが、1990年から2004年までの、家庭における二酸化炭素の排出量
は次のようになっています。
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民生(家庭)部門
1990年 129.1
1991年 130.7
1992年 137.7
1993年 139.2
1994年 146.1
1995年 149.1
1996年 148.8
1997年 145.2
1998年 144.6
1999年 152.7
2000年 158.1
2001年 154.2
2002年 166.3
2003年 169.7
2004年 167.6
(百万トン 二酸化炭素換算)
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上の表を見ると、家庭から出る二酸化炭素は年々増加しており、2004年では、
1990年に比べて30パーセントも増加しています。
その主な原因には、テレビやエアコンなどの電化製品がたくさん普及したことに
より、「電気の消費が増えたこと」が考えられます。
(電気を使うと、なぜ二酸化炭素を出すのかについては、エッセイ221を見て
下さい。上の表の値は、エッセイ221でお話した「間接排出」の値です。)
むかしは、テレビは一家に1台しかなく、エアコンのない家庭も多かったと思い
ます。
しかし現在は、テレビは一家に2台以上が普通であり、エアコンを付けている
家庭も多くなっていると思います。それで、家庭における電気の消費が増えている
のです。
また、上の表には含まれていませんが、自動車もかなり二酸化炭素を出します。
とくに現在では、一家に2台以上の車をもつ家庭も、そんなに珍しくありません。
それだけ自家用車の台数が増えているわけで、それによる二酸化炭素の排出も
増えているのです。
(自動車による二酸化炭素の排出については、また後の機会にお話したいと思い
ます。)
* * * * *
下の表は、さまざまな機器における、二酸化炭素の排出量です。
皆さん各自が、「省エネ」を考えるときの参考になると思ったので、(私には
とても参考になりました)、ここに紹介したいと思います。
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電灯を1時間 22グラム
テレビ(25型)1時間 44グラム
扇風機1時間 18グラム
クーラー1時間 185グラム
洗たく1回 31グラム
掃除機10分 31グラム
アイロン10分 44グラム
ドライヤー10分 66グラム
電気ポットで水1リットル沸かす 40グラム
ガスコンロ(やかん)で水1リットル沸かす 66グラム
ごはん4合炊く 163グラム
カレーライス4人分 528グラム
風呂1回分 1628グラム
スクーターで10キロ走る 748グラム
1500ccの車で10キロ走る 1716グラム
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上の表によると、電気の消費でダントツなのは、エアコンによる冷房です。
たとえば冷房を24時間つけっぱなしにすると、1日で4440グラムの二酸化炭素
を出すことになります。
夏の暑い時期に、冷房を使わないでいるのは、もはや無理でしょう。しかしそれ
だからこそ、広く一般で言われているように、冷房の設定温度をすこし高めにする
のは省エネ効果があるのです。
(もし、エアコンの普及率が低く、使用頻度も少なければ、設定温度を高めにして
も省エネ効果はあまりありません。)
「風呂」も、ずいぶん二酸化炭素を出します。
風呂については、家族がバラバラの時間に入るのではなく、時間をあけずに続け
て入ることが推奨されています。そうすると、風呂を沸かしなおす必要がなくなり、
省エネになるのです。
また、これも夏の暑い時期は仕方がありませんが、冬場などは、毎日風呂に入る
必要も、ないのではないかと思います。せめて1日置きぐらいにしても、良いのでは
ないでしょうか。
そして・・・ やはり「自動車」は、かなりの二酸化炭素を出します。
毎日の通勤や通学を、「自動車の一人乗り」で行うのは、これからの社会では
問題にされるようになるかも知れません。(自動車のことについては、また後で
詳しく考えたいと思います。)
ところで、上の表で面白いのは、やかんを使ってガスコンロでお湯を沸かすより
も、電気ポットでお湯を沸かす方が、「省エネ」になっていることです。
エッセイ232で話しましたが、熱エネルギーから電気に変えるのに、だいたい
半分以上のエネルギーをロスしています。そのロスしたエネルギーを考えに入れて
も、電気を使ってお湯を沸かした方が省エネになっているのです。(この結果は、
私にはとても意外でした。)
これは、やかんの効率が相当悪いことを示しています。ガスの火による熱を、
効率よく水に伝える調理器具の開発が、必要なのではないでしょうか。
* * * * *
以上のように見てきますと、家庭における省エネは、ちょっとした注意や工夫に
よって出来ることが、まだ結構あるように思えます。
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