ミャンマーでクーデター 3
                              2021年3月21日 寺岡克哉


 ミャンマー軍の治安部隊による、一般市民への虐殺が止まり
ません!




 ミャンマーの人権団体であるAAPP(政治犯支援協会)は、

 軍事クーデターが発生した2月1日から、3月19日までに、

 国軍や警察の武力行使で死亡した市民が、少なくても234人に
達したと発表しました。



 また、ミチェル・バチェレ国連人権高等弁務官によると、

 3月17日までに拘束された人の数は、およそ2400人だったとして
います。


             * * * * *


 ところで一般的に、

 デモや抗議集会などに参加していた市民に死者がでた場合、

 催涙弾(さいるいだん)などが、運悪く直撃して死亡したというのが、

 多く聞かれるかと思います。



 ところが!

 現在のミャンマーにおいて、上で述べたように市民の死者が増加し
ているのは、

 警官や兵士が抗議集会やデモ行進を見つけ次第、警告なしに銃を
乱射しているからだといいます。

 とくに、最前線に立つ若者の犠牲が目立っており、銃による頭部への
狙撃(そげき)が、数多く報告されているのです。



 また、日中のデモ制圧にとどまらず、

 夜間には、拘束中のアウン・サン・スー・チーさんが率いるNDL(国民
民主連盟)の関係者たちの自宅を急襲し、

 連行された翌日に、激しい暴行を受けて死亡したとみられる事件も
起こっています。

 が、しかし、

 NDL(国民民主連盟)の関係者たちの家族は、治安当局から「突然、
死んだ」と、告げられたといいます。



 このような国軍や警察による、容赦のない市民への攻撃にたいし、

 NDLの議員たちが結成したCRPH(連邦議会代表委員会)は、

 「違法なクーデターで暴力や殺害、略奪が日常的に行われ、武器を
持つ集団は、もはやテロリストだ」

 「市民は命や財産を守る権利があり、法に従った報復は犯罪では
ない」

 と、徹底抗戦を宣言しています。


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 以上、ここまで見てきましたが、

 催涙弾(さいるいだん)などの直撃による、不可抗力的な理由で
死者が出たのなら、まだしも、

 武器を持たない一般市民にたいして、警告なしに銃を乱射したり、
銃による頭部への狙撃(そげき)を行うなど、

 ほんとうにミャンマー軍は、テロリスト集団というか、殺人者集団と
呼ばれても、仕方がない行為をしています。



 また、その一方で、

 CRPH(連邦議会代表委員会)が、「徹底抗戦」を宣言しているので、

 さらに市民の犠牲者が増えないか、ものすごく心配です。



 このような残虐行為をしているミャンマー軍にたいして、「国際的な
批判」が高まれば良いのですが、

 しかしながら、たとえば中東のイラクやシリアなどの例を見ると、

 外国による過度の干渉は、かえって混乱を増加させたり、テロの
温床を作ったりする可能性があります。

 なので、「力技」でミャンマー軍を抑(おさ)えるという方法は、あまり
上手(うま)く行かないような気がしてなりません。



 やはり、経済制裁と人道支援を行いつつ、

 ミャンマー軍側の考え方が、少しずつ変わっていくのを、じっくりと
待つしか、

 ほかに良い方法が思いつかない次第です。



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