トランプ大統領が退任
2021年1月24日 寺岡克哉
1月20日。
アメリカのトランプ大統領が退任し、新しくバイデン大統領が就任
しました。
これによって、
「世界的な悪夢」というか、1人の人間による「世界的な人災」が、
やっと終わったと言えるでしょう。
* * * * *
ほんとうに、トランプ前大統領は、
アメリカ国内を分断し、対立を煽(あお)っただけでなく、
世界中をかき回し、混乱させてきました。
たとえば、
地球温暖化対策の国際ルールである「パリ協定」からの離脱。
TPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱。
WHO(世界保健機関)からの脱退を通知。
などによって、これまで築かれてきた国際的な秩序を、激しく揺るがし
ました。
また、アメリカの同盟国に対しては、
「アメリカを利用している」として、アメリカ軍駐留の見返りなどで、巨額
の負担を求めました。
そして、NATO(北大西洋条約機構)の加盟国や、韓国、そして日本に
たいし、きびしい要求を重ねてきたのです。
中国に対しては、
中国が「アメリカからだまし取り続けてきた」と訴え、「関税戦争」を通じ
て、世界経済を不安に陥(おとしい)れました。
しかしながら、
アメリカと中国は、2019年の末に、通商協議で「第1段階の合意」に
達していました。
ところがトランプ前大統領は、
今度は新型コロナウイルスで、中国への非難を繰り返し、関係をさらに
冷え込ませたのです。
北朝鮮に対しては、
核・ミサイル開発を進めていたことにたいし「炎と怒り」を宣言し、緊迫し
た情勢になりました。
しかし、その後、トランプ前大統領は態度を一転させ、
金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長(当時)と融和的な態度を
取り、合計3回の首脳会談を行いました。
ところが、北朝鮮の非核化は、進展がないままに終わっています。
中東に対しては、
2001年の同時多発テロから続いていた、アメリカ国内の「対テロ戦争」
への厭戦(えんせん)気分を背景に、アメリカ軍の撤退を進めました。
しかし一方、イランには強硬姿勢を取り、
「イラン核合意」から離脱して、2020年1月にはイスラム革命防衛隊の
ソレイマニ司令官を殺害するなど、
「本格的な軍事衝突の一歩手前」まで進みました。
さらにトランプ前大統領は、アラブ首長国連邦やバーレーンと、イスラエ
ルとの国交樹立を仲介するなど、外交による「イラン包囲網」も進めました。
* * * * *
以上のように、
トランプ前大統領は、世界中をかき回し、世界を混乱させてきました。
なので、
新しくバイデン大統領が誕生し、トランプ前大統領がホワイトハウスから
去ったのは、
アメリカのみならず、世界にとって、ものすごく幸いなことだと思います。
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