ワクチン接種が始まる
2020年12月13日 寺岡克哉
モスクワ市は12月5日。
ロシアで開発された、新型コロナウイルスのワクチンである「スプート
ニクV」の、大規模接種を始めたと発表しました。
まず最初は、医療関係者の人や、教員の人など、感染リスクが高い
職業の人が対象になっています。
ちなみに「スプートニクV」は、
今年の8月にロシアによって、世界で初めて承認された新型コロナ
ワクチンです。
しかしそれは、最終段階の臨床試験が完了していない中での承認
でした。
が、しかしながらロシアでは、これまでに医療関係者たちの10万人
以上が、テストの接種をしているといいます。
ところで、
新型コロナワクチンの開発に関わっている、政府系の「ロシア直接
投資基金」によると、
「スプートニクV」の有効性は、95%だとしています。
* * * * *
一方、イギリスでも12月8日。
アメリカの製薬会社大手ファイザーと、ドイツの企業ビオンテックが
開発した、
新型コロナワクチンの接種が始まりました。
ところで、このワクチンは、
一定期間の保存をするためには、マイナス70℃前後の低温での
管理が必要です。
そのため、ロンドンのあるイングランドでは、接種は当面、設備の
整った50の病院で行われ、
80歳以上の高齢者などが、優先的に接種を受けることになって
います。
ところが、
接種した人のうちの2人が、激しいアレルギー反応のような症状を
示していたことがわかりました。
この2人は、過去にも強いアレルギー反応が出たことがあり、急な
症状を抑えるために、自分で使う注射薬も持っていました。
その後2人は、手当てを受けて回復したということです。
この報告を受けて、
イギリスの規制当局は、医療関係者にたいし、これまでにワクチン
や薬、それに食物で、
「アナフィラキシー(激しいアレルギー反応)」のような症状が出た
ことがある人には、
このワクチンを接種しないよう、「予防的な措置としての勧告」を出し
ています。
* * * * *
ところで日本では、
一体いつから、新型コロナワクチンの接種が始まるのでしょう?
各種の報道によると、
たとえば、ファイザー社とビオンテック社によって開発されたワクチン
の場合、
早ければ来年の3月から、日本での接種が始まるといいます。
ちなみに、このワクチンは、
常温では成分が壊れやすいため、マイナス70℃前後という、もの
すごく低温での保管が必要になります。
そのため厚生労働省は、
マイナス75℃で保管できる冷凍庫を、およそ3000台確保するほか、
ドライアイス(温度はマイナス78.5℃)や、保冷ボックスなども調達し、
各地域の接種場所に配備する予定です。
この新型コロナワクチンは、ファイザー社から1000回分が1度に配送
される見込みですが、
保冷ボックスとドライアイスで保管する場合は、10日ていどで打ち終え
る必要があります。
そのため厚生労働省は、
配分量を考慮して、接種場所や人員を確保するよう、各自治体に求め
る方針です。
一方、自治体側も、
それぞれの地域ごとに、接種の日時を割り振ることを、検討するとして
います。
* * * * *
以上、ここまで見てきましたが、
ロシアとイギリスでは、すでに新型コロナワクチンの接種が始まって
います。
そしてアメリカでも、
早ければ12月14日から、ワクチンの接種が始まる予定になって
おり、
12月中に4000万回分が、アメリカの各地に供給される見通しです。
ところで、
日本におけるワクチン接種の開始は、早くても来年の3月と言われ
ており、上に比べるとすこし遅れてしまいます。
が、しかしながら、
日本では、アメリカやヨーロッパほど、感染者数も死者数も多い訳では
ないので、
日本でワクチン接種を開始するのは、海外において数千万人という、
たくさんの人が接種した後の、
副作用の結果を見てからでも、良いのではないかと私は思っています。
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