トランプ大統領が新型コロナに感染
2020年10月11日 寺岡克哉
アメリカのトランプ大統領は、10月2日の未明。
「今夜、妻と私は新型コロナウイルスの陽性と判定された」
「ただちに隔離と回復のためのプロセスを開始する」
「この新型ウイルスをともに乗り越えていく」と、ツイッターに投稿しま
した。
* * * * *
アメリカ大統領選挙が、目前に迫る中・・・
トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染したことで、世界的な反響
が起こりました。
イスラエルのネタニヤフ首相、WHO(世界保健機関)のテドロス事務
局長、ドイツのメルケル首相、中国外務省の華・報道官、台湾の蔡・総統、
インドのモディ首相、ロシアのプーチン大統領、韓国のムン大統領など、
世界の各国から、病気の回復を願うメッセージが送られたのです。
また、
このたびの大統領選挙で対立候補である、民主党のバイデン前副大統
領も、10月2日の午前。
「トランプ大統領とメラニア夫人の速(すみ)やかな回復を願っています。
大統領と家族の健康と安全をお祈りします」
というメッセージを、ツイッターに投稿しています。
* * * * *
ところで、トランプ大統領の病状経過についてですが・・・
メドウズ大統領首席補佐官が10月3日。
FOXニュースの番組に電話で出演し、陽性の検査結果が公表された
10月2日のことにたいし、
「トランプ大統領は発熱に加え、血液中の酸素濃度が急激に下がった。
主治医と私はとても懸念していた」
と述べて、一時は深刻な状態になったことを明らかにしました。
その上で、
「大統領の症状はその後、信じられないほど改善した。とても楽観して
いる。ただ、今後48時間は依然として厳しい状況になる可能性もある」
と述べて、これから数日は、トランプ大統領の容体を注視する必要が
あるという見方を示しています。
そして、それから48時間が経過した10月5日。
トランプ大統領は、入院から数えてまる3日が経った、この日に退院し
ました。
トランプ大統領は、ホワイトハウスに戻(もど)ると、ツイッターにビデオ
メッセージを投稿し、
「私は指導者として最前線に立つ仕事に戻る。危険は承知のうえだ」と
述べて、ウイルスと闘う姿勢をアピールしました。
その上で、「新型コロナウイルスに支配されたり、恐れたりしてはいけな
い。ワクチンもまもなくやってくる」と、主張しています。
* * * * *
上のように、
トランプ大統領が、入院からたった3日で退院したことについて、自治
医科大学付属さいたま医療センターの讃井教授は、
「74歳という年齢と肥満体型という条件からみれば重症化するリスクは
十分あり、本来であればまだ入院治療が必要だ」
「ただ、大統領という特別な仕事で代わりもいないと考えられ、歩くことが
できる程度に回復しているのであれば、退院して厳重な経過観察を行うの
も一つの判断としては妥当かもしれない」と、話しました。
しかし、その一方で、
「発症から1週間から2週間は急激に重症化することがあるほか、入院
から3日程度であれば周囲に感染を広げるリスクもある」
「仕事に復帰したとしても厳重な隔離が必要で、周囲のスタッフも感染
に十分注意しなければならない」
と述べて、引きつづき十分な注意が必要だとしています。
その上で讃井教授は、
「レムデシビルやデキサメタゾンなど、すでに効果が分かっている薬に
加え、開発中の薬を使うなどしたことで、重症化を防げた可能性がある」
と、指摘しました。 しかしながら、
「一般的には、いったん回復しても入院して治療や経過観察を続ける
べきで、簡単に退院できるほど甘い病気ではない。トランプ大統領の
行動は決して参考にしてはいけない」
と述べて、あくまで異例の措置であることを強調しています。
* * * * *
ところで、
10月6日現在において、ホワイトハウスでの交流との関連が指摘され
ている新型コロナウイルスの感染者は、少なくても22人に上っています。
さらには、
10月9日現在において、新型コロナウイルスによるアメリカの死者数は、
21万4000人にも上っています。
以上のように、
アメリカ合衆国大統領が感染・・・
ホワイトハウスで、クラスターが発生・・・
アメリカ国内で、21万4000人もの死者・・・
これらを見ると、
アメリカの新型コロナウイルス対策が、大失敗しているのは明らかです。
そして、それはすべて、トランプ大統領の責任であることは言うまでも
ありません。
しかも、トランプ大統領は特権階級の人間であり、
レムデシビルやデキサメタゾンなど、すでに効果が分かっている薬に
加えて、さらに開発中の薬を使うなど、
特別な治療を受けることができて、重症化を防ぐことができました。
ところが一方、
アメリカでは医療保険制度が進んでおらず、病院代がバカ高いので、
一般国民は、そう簡単に病院に行くことができないのです。
そんな状況であるのに、
「新型コロナウイルスを恐れたりしてはいけない」などと発言するトラ
ンプ大統領は、
アメリカ国民の命をまったく軽視しており、ものすごく無責任であると
言わざるを得ません。
目次へ トップページへ