GоTоキャンペーンは人災?
                              2020年7月19日 寺岡克哉


 日本政府が、新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた観光産業
を救うために行う、

 「Go To Travel キャンペーン 注1)というのが、7月22日から始ま
ります。


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注1 Go To Travel キャンペーン:

 「Go To Travel キャンペーン」は、旅行会社や旅行予約サイト等を通じ
てキャンペーン期間内に旅行予約をした場合に、その代金の2分の1に
相当する金額が支援される制度です。

 支援額の上限は、1泊1人あたり最大2万円分、日帰りは最大1万円
分が予定されています。

 支援額の7割は旅行代金の割引、残りの3割は旅行先での飲食や
観光施設、地域産のお土産を購入する場合に使える「地域共通クー
ポン」として付与されます。

 キャンペーンの対象となるのは、旅行代理店や旅行予約サイト等を
通じて予約するパッケージツアー(日帰り含む)など、宿泊と交通機関
がセットになった旅行商品です。

 個人で交通機関・宿泊を個別手配する場合は、宿泊料金は対象に
なりますが、交通機関は割引の対象にはなりません。

 また、Go To トラベルキャンペーンの利用回数に制限はなく、旅行先
での連泊日数にも上限はありません(ただしキャンペーン期間内の
宿泊に限る)。

 Go To Travel キャンペーンは、旅行・宿泊代金の割引に限り、7月22
日から先行してスタートします。

 地域共通クーポンの配布は9月以降に始まる予定で、クーポンの配布
が始まるまでは、旅行代金の2分の1に相当する額のうちの7割、つまり
旅行代金の35%の割引のみ受けることができます。
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 ところで!

 この「Go To Travel キャンペーン」にたいして、

 青森県・むつ市の宮下宗一郎・市長が、痛烈に批判しました。



 宮下市長は、市の新型コロナウイルス感染症対策本部で7月13日。

 「感染は、人がウイルスを運んで拡大する。リスクの高い地域から
人が来ることを推進すれば、確実に(感染者が)発生する。今までの
我慢が全部水泡に帰す」

 「キャンペーンによって感染拡大に歯止めがかからなくなれば、
これこそ政府による人災だ」


 「政治や行政が国民、県民の命や健康をないがしろにしてはいけな
い」

 「感染が拡大している局面で(キャンペーンを)やること自体、愚かだ」

 「命があって健康であれば、経済を回す方法はいくらでもある」

 「国や県がどういうキャンペーンをやろうが、むつ市は市民を守る責務
がある」

 と、これらように述べて、「Go To Travel キャンペーン」を痛烈に批判
したのです。



 さらに宮下市長は、

 7月23日からの4連休を軸に、市内の観光施設を臨時休業するよう、
関係部局に指示を出しました。

 釜房山展望台や、観光交流センター「北の防人大湊 安渡館」、早掛
レイクサイドヒルキャンプ場などが候補となるといいます。



 ちなみに、

 むつ市がある、青森県の下北地方では、これまで新型コロナウイルス
の感染者は確認されていません。

 が、しかしながら、

 感染症病床は、むつ総合病院のたった4床しか用意できていないの
です。

 このため宮下市長は、

 「感染者が多数報告された場合、医療崩壊の恐れがある」と、話して
います。


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 以上、ここまで見てきましたが、

 青森県むつ市の、宮下市長の発言は、すごく当然のことだと思い
ます。



 とくに、

 東京都では新型コロナウイルスの感染者が拡大しているのに、

 そこから地方に人が流出するというのは、日本全国に感染を拡大
させるような気がしてなりません。



 おそらく、これは、日本国民の多くが思っていることでしょう。



 そこで政府は、7月16日。

 「Go To Travel キャンペーン」について、東京発着を「対象外」とする
方針を決めました。

 感染流入を懸念する地方の声に配慮し、全国一律で実施する予定
を変更した形です。



 このような措置(そち)は、私も当然であると思っている次第です。



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