薬が無ければ生きられない
                              2020年7月12日 寺岡克哉


 どうやら私は、

 薬が無ければ生きることが出来ない体(薬が無ければ死んでしまう
体)に、なってしまったみたいです。

 というのは、

 これまでに何度か書いていますが、心房細動(注1)の発作が出る
ようになったからです。


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注1 心房細動(しんぼうさいどう):

 心房(心臓の上半部にある部屋)の内部に流れる電気信号が、乱れる
ことによって起こる「不整脈」の一種です。

 心房が痙攣(けいれん)したように細かく震え、血液をうまく全身に送り
出せなくなります。

 また、それによって心房に血栓(けっせん)ができやすくなり、その血栓
が脳に行って、脳の血管が詰まるリスクが高まります。
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 ところで、

 この「心房細動そのもの」によっては、命取りになることはありません。

 しかしながら、

 心房細動を放っておくと、血栓が出来て、脳の血管を詰まらせる病気、
つまり脳梗塞(注2)を起こしてしまうのです。


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注2 脳梗塞(のうこうそく):

 脳梗塞とは、脳の血管が突然つまって血流が途絶え、脳の細胞が死ん
でしまう病気です。

 日本人の死亡原因の第4位が、脳卒中(脳の血管の病気)ですが、
脳卒中のうち6割弱を占めているのが「脳梗塞」です。
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 この「脳梗塞」は、とても恐ろしい病気で、日本人の死亡原因の中でも、
上位を占めています。


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 私は現在、

 心房細動の発作を抑える薬と、血栓が出来にくくなる薬(血液をさら
さらにして脳梗塞を防ぐ薬)を飲んでいますが、

 もしも、これらの薬を飲まなかったら、いずれ私は死んでしまうでしょう。



 たとえば江戸時代など、これらの薬が存在しなかった昔の時代なら、

 私は、もうそろそろ死んでも、おかしくない年齢なのかもしれません。

 つまり江戸時代だったなら、恐らく私は、60歳まで生きられなかった
のだろうと思います。



 昔の時代では、「人生50年」などと言われていましたが、

 もしも現代のような、さまざまな医療技術や薬が存在しなかったら、

 人間は50歳代ぐらいで死んでしまうのが、当然だったのでしょう。



 現代の私たちは、80歳代まで生きるのが、当たり前のように感じて
おり、

 「人生100年時代」などという言葉も、世間では飛び交っています。



 が、しかしながら、

 これらは、ひとえに「医療技術の進歩」によるところが、ほんとうに
大きいのだということを、

 このたび自分の身をもって実感した次第です。


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 ところでまた、

 地震や津波、豪雨による洪水や土砂崩れなどの災害が起こったとき、

 持病を患(わずら)っている被災者の「薬が手に入らない」という問題が、

 よく起こっています。



 これまで私は、その問題の深刻さを、じつは実感することが出来ませ
んでした。

 しかし、このたび「薬が無ければ生きることが出来ない体」になってし
まったことにより、

 そのことの深刻さというか、恐ろしさというのが、身をもって実感できた
次第です。



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