救急車で運ばれました
                               2020年6月14日 寺岡克哉


 私は先日、

 いきなり心臓の具合(ぐあい)が悪くなって、救急車で病院に運ばれる
羽目(はめ)になってしまいました。

 こんなことは、私にとって、まったく初めての体験です!

 なので今回は、その時のことについて、ちょっと書いてみたいと思いま
した。


              * * * * *


 6月9日の午前11時30分ごろ・・・ 

 私がトイレに行こうと立ち上がった瞬間に、いきなり心臓が「ドキドキ
ドキ」と高鳴って、「不整脈」になったことを自覚しました。



 ちなみに私は、これまで「不整脈」になったことが何十回もあります。

 が、これまでの場合は、30秒から1分も経てば、脈拍が正常にもどっ
ていました。



 しかし今回の場合は、

 横になって安静にしていたのに、なんと30分が経っても、不整脈が
一向に収まらなかったのです。

 だんだんと胸が苦しくなってきて、いつ意識を失ってしまうのか分から
ない状態になったので、救急車を呼ぶことにしました。



 119番に電話をかけると、

 まず「消防車」の要請なのか、「救急車」の要請なのかを聞かれました。

 私が「救急車をお願いします」と言うと、つぎに「症状」について質問
されました。

 私は、30分ほど前から不整脈が続いていて、だんだんと胸が苦しく
なってきており、自力では病院に行けそうもないことを伝えました。

 そうすると、私の住所を確認したのち、ドアのカギを開けて、マスクを
つけて待機するように言われました。



 私は一瞬、「マスク?」と疑問に思いましたが、ちょっと考えてみれば
当然でした。

 新型コロナウイルスの所為(せい)で、救急車に乗るのにも、マスクが
必要な状況になっているのです。


             * * * * *


 その後、10分ほどして、救急車がやってきました。


 救急車の中に入り、ストレッチャー(台車)の上に寝かせられると、

 心電図の電極が胸につけられて、血圧計が腕につけられ、体温も測定
されました。

 搬送(はんそう)先の病院について希望を聞かれたので、私は、なるべ
く家から近い病院にしてもらえるように頼みました。

 そして救急隊員の人が、病院に連絡をとったあと、いよいよ救急車が
動き出しました。



 救急車が走っている間は、ずいぶん「ガタガタ」と揺れました。

 救急車が、こんなに揺れるものだとは知らなかったので、ちょっと驚き
ました。

 おそらく、座席に座(すわ)っていたのではなく、ストレッチャーの上に
寝ていたので、ガタガタと揺れを感じたのかもしれません。


             * * * * *


 救急車が動き出して、15分ぐらいすると、病院に到着しました。


 ストレッチャー(台車)に寝かせられたまま、病院の救急用の入口から
入ると、すぐに処置ができる部屋になっていました。

 そこには、医師や看護師の人たちが4~5人ほど待機していたように
思います。

 さっそく私は、心電図を取るためのの電極が胸のあちこちにつけられ、
脈拍を安定させる薬を点滴されて、酸素吸入もしました。

 そして医師から、「心房細動(注1)」だと言われたのです。


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注1 心房細動(しんぼうさいどう):

 心房(心臓の上半部にある部屋)の内部に流れる電気信号が、乱れる
ことによって起こる「不整脈」の一種です。

 心房が痙攣(けいれん)したように細かく震え、血液をうまく全身に送り
出せなくなります。

 また、それによって心房に血栓(けっせん)ができやすくなり、その血栓
が脳に行って、脳の血管が詰まるリスクが高まります。
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 それから10分ほどしても、脈拍を安定させる薬の点滴では、不整脈が
治まらなかったので、

 麻酔をして私を一時的に眠らせ、胸に電気ショックを与えることになり
ました。

 これは例えば、パソコンが暴走してフリーズしたときに、電源を強制的
に落として「リセット」するような感じです。



 麻酔薬を注入する指示が出されると、(私の自覚では)その一瞬後に、
脈拍が正常になっていました。

 医師の話によると、麻酔が効いて私が眠り、電気ショックをかけようと
する前に、点滴していた薬が効いて脈拍が正常にもどったそうです。

 だから私は、電気ショックを受けることがありませんでした。



 私が眠りから覚めると、ゆっくりと、隣のベッドに移るように言われました。

 ちょっと眠い感じはしたのですが、ベッドを移ろうとすると、体が言うこと
を聞かずに「グラッ」と揺れてしまいました。

 看護師の人が「大丈夫ですか!」と声をかけてくれましたが、私は思わず
「こんなんなるんだ」と口走ってしまいました。



 私は、移ったベッドごと、一般の治療室に運ばれました。

 しばらくすると、麻酔から完全に覚めて、ふつうに立って歩けるようになっ
たので、

 処方された薬(脈拍を安定させたり、血栓が出来にくいようにする薬など)
を受けとり、タクシーで家に帰った次第です。


               * * * * *


 家にもどってから、つくづく私は思ったのですが・・・ 

 不整脈の発作が始まったとき、いつ倒れてしまうのか分からない状態だっ
たので、タクシーでは病院に行けそうもありませんでした。

 なので、「もしも救急車が来てくれなかったら」と思うと、心の底からぞっと
しました。

 救急隊員の方々と、病院の方々には、ほんとうに心からお礼を申し上げ
ます。



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