接触を8割削減って何?
2020年4月26日 寺岡克哉
いま現在、新型コロナウイルスの感染拡大を、短期間で阻止する
ためには、
「人と人との接触を、8割削減しなければならない!」と、声高(こわ
だか)に叫ばれています。
が、しかし、
この「接触8割削減」について、ちょっと考えてみると、
まったく「理解不可能」であることが分かるのです。
というのは、
たとえば仕事の都合などで、毎日100人と接触している人が、居た
としましょう。
この人が、「接触8割削減」を実行すれば、毎日20人と接触すること
になります。
ところが、
また別の人は、毎日10人としか接触しないような、生活環境だった
としましょう。
この人が、「接触8割削減」を実行すれば、毎日たった2人としか
接触できなくなるのです。
このように、
ある人は20人と接触しても大丈夫なのに、別のある人は2人と
しか接触してはならないという、
まったくもって「理解不可能」なことが起こるわけです!
もしも仮に、毎日20人と接触しても大丈夫なら、
毎日10人としか接触していない人は、接触削減をしなくても大丈夫
なはずです。
しかし逆に、毎日2人までの接触に抑えなければならないのなら、
毎日100人と接触していた人は、8割ではなく、9割8分の接触削減
をしなければ、ならないはずです。
なので政府は、「接触8割削減」ではなく、
1日の接触を「何人までに削減」しなければならないのか
(たとえば1日に5人までの接触なら許されるのか、10人までなのか、
あるいは1日に20人と接触しても大丈夫なのかなど)を明示しなければ、
ほとんどの国民は、理解も納得も、できないのではないかと思います。
* * * * *
ところでまた、もう一つ、まったく理解不可能なことがあります。
それは、「首都圏の通勤電車」について、政府もマスコミも、ほとんど
言及しないことです。
たとえば・・・
電車の1車両の、長さは20メートル、幅は3メートルぐらいです。
そしてまた、
新型コロナウイルスにおける「ソーシャルディスタンス(社会的距離)」
は、2メートル以上と言われています。
なので、
人と人との距離を2メートル以上に保つならば、1つの車両に20人
しか乗れないことになります。
ところで、
通常のラッシュアワーのとき、1車両の定員を150人、混雑率を
180%とすると、
150×1.8=270人が、1つの車両に乗っていたことになります。
なので、
8割の削減をしても、270×0.2=54人が、1車両に乗ることになり
ます。
この、1車両に54人というのは、
ソーシャルディスタンスの考え方(1車両20人)からすれば、2.7倍も
密集しており、危険な状態です。
なので、首都圏の通勤電車の場合は、8割削減ではダメで、
1-(20÷270)=0.926となり、
およそ9割3分の削減が必要であると、私は考えている次第です。
* * * * *
しかし、それにしても・・・
政府も、テレビも、新聞も、「首都圏の通勤電車」について、ほとんど
言及しないのは、
まったく不可解でなりません!
これでは、
海や、公園や、買い物などに行くのを、いくら自粛したとても、意味が
ないような気がしてなりません。
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