緊急事態宣言を発令
                               2020年4月12日 寺岡克哉


 安倍首相は4月7日。

 改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づく「緊急事態宣言」を

 初めて発令しました。



 対象となった地域は、

 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、福岡県の
7都府県で、

 期間は5月6日までです。



 この緊急事態宣言により、

 上の7都府県の知事は、私権の制限を含む法的措置が、可能に
なります


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 安倍首相は同4月7日。緊急事態宣言についての会見を行い、

 人と人との接触機会を、7割~8割減らすように要請しました。



 接触機会を、これだけ減らすことが出来れば、

 2週間後には「感染者の増加を、減少に転じさせることが可能」
だとしています。



 が、しかし、もしも感染の拡大が続いた場合は、

 「1ヵ月後には感染者が8万人を超える」と、しています。



 また、このたびの緊急事態宣言によって、

 都市封鎖(ロックダウン)や、道路封鎖が行われることはなく、

 電車やバスは運航されるとしました。



 さらに安倍首相は、

 「日本経済は戦後最大の危機に直面している」として、

 事業規模が108兆円に上る、経済対策の実施を強調しています。


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 ところで、私は疑問に思ったのですが、

 新型コロナウイルス感染者の増加を、減少に転じさせるためには、

 人と人との接触機会を、7割~8割減らすことが必要ということでし
た。

 しかしながら、そんなことが本当に可能なのでしょうか?



 というのは、このたびの緊急事態宣言では、

 満員電車などによる「通勤」については、自粛要請の対象になって
いないからです。



 そしてまた、

 ナイトクラブや、カラオケ店、ライブハウスなどの遊興施設にたいして
休業要請を出しているものの、

 その他、大多数を占める「一般企業」に対しては、休業要請が出され
ていないからです。



 さらには、

 コロナウイルスに感染しても、無症状の人や、軽症の人などは、

 会社を休むことができずに、出勤してしまうかも知れません。



 これらを考えると、

 人と人との接触機会を、7割~8割減らすことなど、とても出来るとは
思えません。



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 このような私の疑問は、おそらく日本政府の上層部も、持っていたので
しょう。



 というのは、4月11日に、

 政府の新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長・安倍首相)は、

 緊急事態宣言の対象になっている7都府県の「全事業者」にたいして、

 「在宅勤務を促し、出勤者を最低7割減らす」ように呼び掛けたから
です。



 安倍首相は、

 「緊急事態を1カ月で終えるには最低7割、極力8割の接触削減を、
何としても実現しなければならない」

 「そのためには、もう一段の国民の協力が不可欠だ」と、強調しました。



 しかし、はたして、

 7都府県の「すべての事業者」が、出勤者を最低7割減らすことなど、
ほんとうに実現できるのでしょうか。


 安倍首相の「お手並み」を、拝見したいと思います。



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