マスク不足の脅威 2
                                2020年4月5日 寺岡克哉


 今回は、マスクの供給状況について、すこし詳しく見ていきたいと
思います。


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 全国マスク工業会によると・・・

 これまで日本国内では、1ヵ月に平均4億5000万枚のマスクが
供給されていました。

 このうち、国内メーカーによる生産分は1億4000万枚で、全体の
およそ3割ほどにすぎません。

 あとの残りの多くは、中国からの輸入に頼っており、全体のおよそ
6割に当たる2億8000万枚が、中国製で占められています。



 しかし現在では、マスクの品薄を打開するため、国内メーカーは
通常の3倍のマスク(1ヵ月で4億2000万枚)を生産しています。

 ところがマスクの「受注量」は、例年の5倍(1ヵ月で22億5000万
枚)に跳ね上がっているのです。



 これでは、マスクが買えるはずがありません!



 全国マスク工業会の担当者は、

 「供給量の6割から7割以上は小売店に回っているはずだが、
すぐに売り切れる」

 「品不足がいつ解消されるかは、状況次第なので分からない」

 と、話しています。


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 ところで上で述べたように、

 これまで日本は、1ヵ月に2億8000万枚のマスクを、中国から
輸入していました。


 が、しかし現在では、

 中国からの輸入は、1ヵ月に4000万枚ていどまで低下してい
ます。


 日本政府は、

 中国からのマスクの輸入量を、4月には1ヵ月に1億2000万枚
ていどまで増やしたいとしていますが、

 それでも、従来の半分以下にしかなりません。



 このように、中国からの輸入量が激減した背景には、

 「中国で製造されたマスクが、中国側の ”規制” によって、日本に
供給されないことが一因だ」

 という、見方が有力になっています。



 もちろん、中国政府は輸出規制を否定していますが、

 しかし、たとえば群馬県・太田市の医療用品販売会社によると、

 「現実に、中国から(マスクを)持ち出すことができない状態だ」と、いう
のです。


 同社・社長のスマートフォンには、中国福建省の委託工場で撮影
されたという、「山積みのマスク」の写真がありました。

 この社長によると、委託契約により、その工場で作られた製品は、
すべて日本に送られてくるはずでした。

 が、それなのに、1月の下旬ごろからマスクが一つも届かなくなった
というのです。


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 以上、ここまで見てきて私は思うのですが・・・ 


 たとえば、およそ1億2000万人の日本国民すべてが、毎日マスクを
使い捨てたら、1ヵ月におよそ36億枚のマスクが必要になります。

 一方、現在、マスクの「受注量」は、1ヵ月に22億5000万枚にも上っ
ており、

 36億枚とまでは行かなくても、それに匹敵(ひってき)する枚数だと
言えるでしょう。



 ところが、マスクの供給量は、4月の段階でも7億枚にしかなりません。

 しかも、マスクの不足は世界的に起こっており、今後、海外からの輸入
を大量に増やすことはできないでしょう。



 なので、1ヵ月に20億~30億枚のマスクを、国内で生産する必要が
あると思いますが、

 しかし現在、1ヵ月で4億2000万枚と言われる国内生産数を、20億~
30億枚まで増やすのは、とても無理であるような気がしてなりません。



 だから、とりあえず、

 多くの一般国民は、「布製マスク」で急場をしのぐしか、ないのではない
かと思う次第です。



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