マスク不足の脅威 1
2020年3月29日 寺岡克哉
テレビ報道では、あまり取り上げられないように感じるのですが、
いま現在、日本でいちばん大きな問題は、「マスクの不足」です。
というのは、
まず第一に、医師や看護師、介護士、臨床検査技師、レントゲン
技師、医療事務など、病院で仕事をしている人たちは、「マスク」が
絶対に必要です。
また、スーパーのレジや、コンビニの店員など、「接客の仕事」をして
いる人々も、すでに「マスク」が必需品になっているでしょう。
さらには、休校していた学校を再開するためにも、大量の「マスク」が
必要になりそうです。
つまり、マスクが十分に供給されなければ、
病院が機能しなくなり、経済活動ができなくなり、学校の再開も
危(あや)ぶまれてしまい、
「日本の社会」が動かなくなってしまうのです。
それなのに、
私たち一般の国民は、いま現在でもまだ、マスクを買うことができな
い状況です。
だから、いまや「マスクの供給」は、
「国家戦略」とも言えるような、ものすごく重要な問題になっていると
思います。
それで今回は、「マスクの供給状況」について、ちょっと調べてみま
した。
* * * * *
まず、
マスクを作っているメーカーによると、今年の1月以降から、24時間
体制でマスクを増産しており、
日本国内の実需見込みである「週1億枚」の供給体制は、すでに
2月末の時点で整っているそうです。
この「週1億枚」というのは、花粉症やインフルエンザの流行期を踏ま
えた、例年における最大の数量です。
ところが!
今年の注文は、それを大きく上回り、(2月下旬の時点で)週5億~
6億枚に上っているそうです。
こんな状況では、
私たち一般の国民が、ふつうに店でマスクを買えるわけがありませ
ん。
* * * * *
これに対して、
国の対応は、一体どのようなものに、なっているのでしょう?
たとえば、
令和2年3月5日付けの、新型コロナウイルス感染症対策本部(第17
回)総理発言抜粋によると、
マスクについては、これまで国内企業への設備投資支援を行っており、
今月(3月)は、例年の需要(およそ月4億枚)を大きく上回る、月6億枚
以上の供給を確保しているそうです。
また、
何度でも再利用可能な布製マスクを、2000万枚、国が一括して購入
するそうです。
そして高齢者の介護施設や、障害者施設、保育所、今般の学校休業
に伴う学童保育などの現場に、
少なくとも1人1枚は行き渡るように、十分な量を配布するそうです。
それと同時に、
医療機関向けのマスクについて、国内メーカーに増産を要請するととも
に、海外からの輸入を拡大することにより、1500万枚を、国として確保
するそうです。
そしてこれを、必要な医療機関を対象に優先配布を行うことで、マスク
不足によって医療現場に支障が生じることがないよう、万全を期すそうで
す。
また、これまでに得られている最新の情報では、
菅・官房長官が3月27日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染
拡大を受けたマスク不足について、
「3月は6億枚を超えるマスクを供給することになった。4月には1億を
上積みできる見通しだ」と、述べました。
その上で、「品薄状況の解消には一定程度の時間を要するが、供給
拡大に向け最大限の努力をしたい」と、語っています。
* * * * *
以上ここまで見てきて、私は思うのですが・・・
上で紹介しましたが、2月下旬の時点でマスクの注文は、週5億~
6億枚に上っていました。
これを1ヵ月あたりに計算し直すと、月20憶~24億枚にもなります。
ところが一方、
3月27日の菅・官房長官の記者会見によれば、今年の4月になって
も、マスクは月7億枚しか供給されません。
これでは、
マスクの供給がとても足りず、やはり一般の人々は、マスクを買うこと
ができないでしょう。
いま現在つづいている「マスク不足」の問題は、
「使い捨てマスク」にたいする、盲点というか、弱点というか、限界が
曝(さら)け出されたと言うことなのでしょう。
日本国民のほとんど全員が、毎日マスクを使い捨てるようになったら、
いくらマスクを増産しても追いつかないのは当然です。
やはり、このような非常事態のときは、
洗って何度でも使える「布製マスク」の方が、心強く感じる次第です。
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