新型コロナウイルスの脅威 6
                                2020年3月8日 寺岡克哉


 近ごろ、

 新型コロナウイルスの感染拡大が心配されるなか、マスクの売り切れ
状態がつづいています。


 ところが、

 新型コロナウイルスとは、まったく関係がない生活物資なのに、

 トイレットペーパーや、ティッシュペーパーが、売り切れ状態になって
いるのです。


 私も先日、

 CO・OP(生協)や、イオン系列のスーパーマーケットに行ってみたの
ですが、

 やはり、トイレットペーパーと、ティッシュペーパーが、売り切れの状態
になっていました。


             * * * * *


 しかしなぜ、マスクが売り切れるのは仕方がないとしても、

 トイレットペーパーや、ティッシュペーパーまでもが、売り切れ状態に
なってしまうのでしょう?



 私は最初、その理由が、まったく分かりませんでした。それで、ちょっ
と調べてみたのですが、

 どうやら、

 「マスクと同じ原料で作られているトイレットペーパー(やティッシュ
ペーパー)が品切れになる」

 「マスクの材料に紙が回されるので、トイレットペーパー(やティッシュ
ペーパー)が不足する」

 「中国から原材料が輸入できなくなる」

 などと言うようなデマが、広がったためみたいです。



 そもそも、

 家庭用のマスクは、現在、その90%以上が「不織布(ふしょくふ)」
と呼ばれる「織っていない布」でできています。

 たしかに不織布の中には、紙の原料となるパルプを使用したものも
ありますが、

 家庭用の使い捨てマスクの場合は、ほぼ全てが「化学繊維」で出来て
いるのです。



 私も、わが家にあったマスクのパッケージを確認したところ、素材欄
には、

 本体: ポリプロピレン
 耳ひも: ポリウレタン、ポリエステル
 ノーズフィッター: ポリエチレン

 と、書いてありました。なので、使い捨てマスクに紙は使われていま
せん!




 そしてまた、トイレットペーパーや、ティッシュペーパーのメーカーで
構成されている「日本家庭紙工業会」の事務局は、

 「中国の影響で品薄というのは全くのデマ」と、断言しています。



 日本家庭紙工業会によると、

 日本で流通しているトイレットペーパーの98%は、国内で生産されて
おり、原材料も国産だとしています。



 さらに、同・家庭紙工業会の担当者は、

 「各メーカーや卸元(おろしもと)には、在庫がふんだんにあるが、デマ
で配送が追いつかず、一部の地域で一時的に棚から商品が消えている
状態」

 「待てば、かならず商品は入荷するので、落ち着いて対応してほしい」

 と、語っています。



 そして事実、

 昨日(3月7日)に、私が近くのスーパーマーケットを確認したところ、

 トイレットペーパーも、ティッシュペーパーも、ごくふつうに売られていた
のです。


              * * * * *


 私は思うのですが・・・ 

 この騒動により、新型コロナウイルスの脅威として、新しい一面が
見えてきたように思います。



 つまり、いま現在のところ、

 新型コロナウイルスの感染者や死者の数は、例年のインフルエンザ
に比べると、ぜんぜん少ないのは明らかですが、

 それなのに、

 非常に多くの人々が、右往左往(うおうさおう)して、仕事や生活に
支障をきたしているわけです。



 このように、新型コロナウイルスの脅威というのは、

 病気そのものの脅威よりも、むしろ、うわさやデマあるいは過剰な
報道などによる「扇動(せんどう)の脅威」の方が、

 ずっと大きいのではないかと思った次第です。



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