新型コロナウイルスの脅威 5
                                2020年3月1日 寺岡克哉


 前回で取り上げた、新型コロナウイルスの「致死率」についてですが、

 ダイヤモンド・プリンセスのデータでは、致死率が0.32%なのに、

 中国のデータでは致死率が2%と、ものすごく大きくなっていました。

 そして、この理由について前回では、

 中国では患者が多くて、医療施設がパンクしているためではないか
と推測しました。



 もちろん、

 そのような理由があるのは確かだと思いますが、しかしながら、一つ
見逃していたことがありました。

 それは、中国では患者数が多いため、症状が出ていない人や、軽症
の人にたいして、ウイルス検査が行われていない可能性があることです。

 つまり実際には、ウイルス検査が行われていない感染者が、もっと
たくさんいて、

 それで「見かけ上の致死率」が、大きくなっている可能性が考えられ
るのです。



 たとえば、中国のある地区で、感染者が1000人いて、そのうち20人
が亡くなったとすれば、致死率は2%となります。

 しかしながら、もしも同じ地区において、じつはウイルス検査が行われ
ていない感染者が他に9000人いて、本当の感染者が10000人だった
としたら、

 致死率が0.2%に下がります。



 このように中国では、患者数が多いために、ウイルス検査が間に合わ
ず、

 「見かけ上の致死率」が、大きくなっている可能性が考えられるのです。


             * * * * *



 それに対して一方、ダイヤモンド・プリンセスのデータは、

 症状が出ている人のみならず、症状が出ていない人も、すべてウイル
ス検査をしているので、

 ダイヤモンド・プリンセスのデータから求めた致死率は、信頼性が高い
と言えます。



 これまでに得られている最新のデータによると、2月26日の時点に
おいて、

 ダイヤモンド・プリンセスの乗員・乗客で、新型コロナウイルスに感染
した人は708人であり、

 そのうち4人の方が亡くなっています。



 そして、これらのデータから致死率を計算してみると、

 (4÷708)×100=0.56% と、なります。



 この、致死率0.56%という値(あたい)は、今後、変わる可能性が
あるにしても、

 いま現在において得られている、いちばん正確な値であると、私は
考えています。


             * * * * *


 ところで、

 上で求めた、新型コロナウイルスの致死率0.56%という値は、イン
フルエンザの致死率0.1%に比べると、5.6倍もの大きな値です。

 そしてインフルエンザは、日本国内で毎年10000人ぐらいの死者を
出していますから、

 もしも新型コロナウイルスが、インフルエンザのように流行してしまっ
たら、

 その5.6倍の、56000人ぐらいの死者が出てしまうことでしょう。



 なので、

 新型コロナウイルスが、インフルエンザのように流行してしまうことを、

 
絶対に防(ふせ)がなければなりません!



 ちなみに、安倍首相は2月27日。

 新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、全国すべての小中
高校や特別支援学校にたいして、

 3月2日から春休みに入るまで、休校とするように要請しました。



 また、北海道の鈴木知事は2月28日。

 「新型コロナウイルス緊急事態宣言」というのを出して、

 週末の外出を控(ひか)えるように、北海道民に協力を呼びかけました。



 さらに安倍首相は、同2月28日。

 国会の衆議院予算委員会で、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ
対策について、

 「ここ1、2週間が極めて重要だ」

 「今がまさに感染拡大のスピードを抑制するために極めて重要な時期
だとの認識のもと、情勢の変化を踏まえ、何よりも国民の命と健康を守る
ことを最優先に、やるべき対策をちゅうちょなく決断し、実行していく」

 と、述べています。


             * * * * *


 たしかに、私の住んでいる北海道では、

 ここのところ、新型コロナウイルスの感染者が急激に増えており、

 これから1週間~2週間が、感染拡大を防ぐ「正念場」のような気がして
なりません。



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