新型コロナウイルスの脅威 3
2020年2月16日 寺岡克哉
ここのところ、
新型コロナウイルスについての「テレビ報道」を見ていると、
「正しく怖がる」という言葉が、頻繁(ひんぱん)に使われています。
しかし、「正しく怖がる」というわりには、
「必要以上に恐怖心を煽(あおり)り立てる」ようなテレビ報道も、
ずいぶん行われているように、私は感じてならないのです。
その例として、
「新型コロナウイルスによる死者数が、SARSを超えた!」という報道
があります。
つまり、
2002年~2003年に大流行した「SARS(重症急性呼吸器症候群)」
による世界全体の死者数は、774人でしたが、
一方、中国本土における「新型コロナウイルス」による死者数が、
2月9日の時点で合計811人となり、
「SARSの死者数を超えた」というわけです。
ところで、なぜ、
新型コロナウイルスと、SARSとの比較ばかりが報道され、
新型コロナウイルスと、インフルエンザとの比較は、ほとんど報道
されないのでしょう?
* * * * *
たとえば最新の情報によると、
「新型コロナウイルス」の方は、中国において2月15日の時点で、
患者数が6万6492人、死者数は1523人となっています。
ところが!
「インフルエンザ」の方は、アメリカにおいて昨年の10月1日~今年の
2月1日までに、
患者数が2200万~3100万人、死者数は1万2000~3万人に上って
いるのです。
数に開きがあるのは、CDC(アメリカ疾病対策センター)によると、
「インフルエンザでは、罹病ケースを完全に監視することは不可能なため」
だといいます。
これらを比べてみると、
アメリカのインフルエンザの方が、中国の新型コロナウイルスよりも、
患者数は331~466倍、死者数が7.9~19.7倍も大きいのです。
さらにアメリカでは、
インフルエンザの感染がとくに深刻だった、2017年~2018年の
シーズンにおいて、
患者数は4500万人にも上り、6万1千人が死亡しています。
このときと比べれば、アメリカのインフルエンザの方が、中国の新型
コロナウイルスよりも、
患者数は677倍、死者数が40倍も大きかったのです。
* * * * *
また、日本国内の状況について見ると、
「新型コロナウイルス」の方は、2月15日の時点で、
感染者が259人、死者は1人となっています。
ところが「インフルエンザ」の方は、
平均的に毎年1000万人が感染し、1万人が亡くなっているの
です。
なので、
インフルエンザの方が、新型コロナウイルスよりも、
感染者数は3万8600倍、死者数は1万倍も大きいことになるの
です。
* * * * *
これまでの考察から分かるように、
「新型コロナウイルス」と「SARS」の比較ばかりを報道し、
「新型コロナウイルス」と「インフルエンザ」の比較を、ほとんど
報道しないのは、
「必要以上に恐怖心を煽り立てている」としか思えません。
いま現在のところ、新型コロナウイルスよりも、インフルエンザ
の方が、よほど恐ろしい病気なのです。
しかしながら!
大型豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」における最新データに
よると、
2月13日の時点で、のべ713人の検査を実施した結果、乗員と
乗客を合わせて218人の感染が確認されています。
この検査結果から、「感染率」を計算してみると、
(218÷713)×100=30.6%となり、
同じ乗り物や、同じ建物などで、感染者と居合わせた場合は、
新型コロナウイルスの感染力が、ものすごく大きいことは明白
です。
なので、
自分が住んでいる市町村など「身近な場所」で、新型コロナウイ
ルスの感染者が見つかった場合は、
最大限の注意が必要であることは言うまでもありません。
さらに現在のところ、
日本国内における、新型コロナウイルスの致死率は、
(1÷259)×100=0.39%となっており、
まだ事例が少ないとはいえ、インフルエンザの致死率0.1%に
比べると、およそ4倍もの大きさになっています。
そのため、
新型コロナウイルスを、インフルエンザのように流行させるわけ
にはいきません。
やはり、新型コロナウイルスを拡大させないための、細心の注意が
必要なのです。
目次へ トップページへ