香港はどうなるのか 1
2019年12月1日 寺岡克哉
前回まで、韓国による「GSOMIA破棄」の問題について見てきましたが、
じつは「香港の情勢」も、ここのところ大変なことになっています!
今年の3月以降から、
香港警察が逮捕した容疑者を、中国本土へ引き渡すことを可能にする
「逃亡犯条例改正案」に反対するデモがたびたび発生し、
6月9日には、主催者発表で103万人が参加したとする「大規模なデモ」
が行われました。
その後もデモが行われ、10月23日には「逃亡犯条例改正案」が正式に
撤回されましたが、
しかし香港の人々は、普通選挙の実現、独立調査委員会の設置、逮捕
されたデモ参加者の逮捕取り下げ、民主化デモを暴動とした認定の取り
消し、
などを求めて、いま現在でもデモが行われています。
そして、11月25日に行われた、
香港の区議会選挙(直接投票の地方議会選挙、18区452議席)では、
親中国派が惨敗し、中国への抗議活動の継続を明言した「民主派」が、
全体の85.2%の議席を獲得したのです。
近ごろの中国は、
香港への支配力を強めてきており、このまま香港を「野放し」にしておく
はずがありません。
何時(いつ)か、どこかのタイミングで、香港への「強力な介入」を実行する
のは、まず間違いないと思われます。
ところで一方、アメリカ議会は、
「香港人権・民主主義法案(香港での人権と民主主義の確立を支援
する法案)」を、11月20日までに下院も上院も可決しており、
この法案が成立すれば、アメリカと中国の対立が、さらに激化するのは
明らかです。
そして11月27日には、
アメリカのトランプ大統領が、「香港人権・民主主義法案」に署名して、
この法律が成立しました。
当然ながら中国政府は、これに対して、
「内政への重大な干渉であり、中国政府と中国人民は断固として
反対する」
と、非常に強く反発し、報復措置に踏み切る考えを示しています。
* * * * *
以上、とても大ざっぱに見てきましたが、
香港をとりまく情勢は、このように、ものすごく大変なことになって
います。
いま現在、
アメリカと中国の「貿易摩擦」が、とても大きな問題になっていますが、
11月29日の時点で中国政府は、
「香港人権・民主主義法」を成立させたアメリカへの報復措置として、
香港に干渉していると見なすアメリカ企業や個人をリスト化し、中国
市場から締め出すことを検討していると、言われています。
もしも、そんなことが実行されたら、
アメリカと中国の貿易問題で、さらに「新たな争点」が発生することに
なり、
両国の貿易協議が、ますます遅れてしまう恐れがあります。
このように、
香港をとりまく情勢は、中国やアメリカ、そして台湾や日本、さらには
世界的にも大きな影響を及ぼす恐れがあるのです。
なので香港のことも、これから少しじっくりと、見て行かなければならな
いと思っている次第です。
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