グレタさんを誹謗中傷しても・・・
                               2019年10月27日 寺岡克哉


 本サイトの「エッセイ917」で紹介した、グレタ・トゥーンベリさんです
が、

 その後、すこしネットをくぐってみたら、グレタさんを誹謗中傷(ひぼう
ちゅうしょう)している者たちが、けっこう居るみたいです。



 誹謗中傷の具体的な内容については、見るだけで不愉快になって
くるので、いちいちここに書き出すことはしませんが、

 グレタさんの容姿や服装、態度(言葉使いなど)、行動(学校の授業
をボイコットするなど)、個性(本人はアスペルガー症候群であることを
公言しています)などの、

 グレタさん個人を標的にした、いわゆる「人格攻撃」に始終していま
す。



 そのような者たちは、

 地球温暖化についての科学的な正しい知識など、到底あるように
は見えず、

 グレタさんの科学的な知見に基づいた主張にたいして、まっとうな
反論ができないために、

 グレタさん個人にたいして、 ただただ感情的な誹謗中傷を行って
いるのです。


            * * * * *


 そのような者たちの心情を想像してみると・・・ 


●地球温暖化対策を、これまで本気になってやって来なかったことへの、
 うしろめたさ。

●目先の金もうけ(近視眼的な経済成長)を優先させるために、わざと
 温暖化対策の足を引っ張ってきたことへの、うしろめたさ。

●自動車を乗り回すなど、これまで行ってきた生活に、うしろめたさを
 感じさせられること。

●温暖化対策(二酸化炭素削減)のために、これまでの生活を変えたく
 ないという気持ち。

●ますます甚大になっていく気象災害への恐怖を、仕事などの日常生活
 にかまけて忘れていたかったのに、グレタさんの所為(せい)で、その
 恐怖を思い出してしまったこと。

●いい年の大人なのに、16歳の少女に対して、まっとうな反論ができない
 ことへの屈辱感。



 グレタさんの言動にたいして、

 耐え難いほどの「不愉快さ」を感じる者たちの心情は、

 大体こんな所ではないでしょうか。


             * * * * *


 しかしながら!

 いくらグレタさんを誹謗中傷しても、地球温暖化による気候変動
の脅威が、無くなるわけでは絶対にありません。


 二酸化炭素の排出を削減しなければ、気候変動による脅威が
ますます大きくなって行くのは、絶対に確実なのです。




 たとえば、わが国の日本においても、

 ここのところ毎年のように、大洪水による甚大な被害が出ていますが、

 これほどの大被害でも、まだまだ序の口の方で、

 二酸化炭素の排出を削減しなければ、今後どんどんどんどん被害が
大きくなって行くのは、絶対に確実なのです。



 これは別に、恐怖心を煽(あお)っている訳ではありません。



 二酸化炭素の排出を削減しなければ、さらに地球温暖化が進み、

 気候変動による気象災害が、さらに大きくなって行くというのは、

 世界中の科学者たちが、膨大(ぼうだい)な観測データを集めて、

 スーパーコンピューターによる綿密な計算を行って得られた、

 「科学的な結論」なのです。



 まったく当たり前のことですが、そのような「科学的結論」が、

 16歳の少女への誹謗中傷によって覆(くつがえ)ることは、絶対に
ありません。

 もしも、グレタさんを力ずくで黙らせることで、地球温暖化が治まる
ならば、それはまるで「魔法」です。

 そんな魔法など、この世に存在する訳がありません。



 ちなみにグレタさんは、「決して大人たちを許さない」と言いましたが、

 本当に許してくれないのは、そして絶対に許してくれないのは、実は
グレタさんではありません。

 二酸化炭素の排出を削減しなければ、気候変動による気象災害が
ますます甚大になって行くという、「科学的な自然法則」そのもの。

 それが、どこまでも徹底的に、私たちを絶対に許してはくれないのです。



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