千葉県の大規模停電
2019年9月22日 寺岡克哉
9月9日。
強い台風15号が千葉市付近に上陸し、甚大な被害が出ました。
「大規模な停電」も発生し、東京電力によると、
一時は、千葉県を中心として93万4900軒の停電が発生したと
いいます・・・
* * * * *
ところで!
このたびの大規模停電では、「復旧の見通しの甘さ」が大きな問題
となっています。
というのは、
東京電力は9月10日の時点で、「11日中の完全復旧を目指す」
としていたからです。
ところが、
9月11日になると、「完全復旧のめどが立っていない」と発表した
のです。
東京電力は、「復旧作業に当たったところ、例えば変圧器の交換
だけではなく電柱ごと復旧が必要など、被害規模が大きかった」と
話しており、
木更津市、成田市などのエリアについては13日以降の復旧に
なるとして、「見通しが立っていない」としました。
東京電力は、「想定が甘かったと反省している。現段階としてまだ
一週間かかる被害規模だとは考えていない。早期の復旧に努める」
と、コメントしています。
ところが、東京電力は9月13日になると、
千葉県などの停電について、「最大2週間程度で(9月27日までに)、
おおむね全面復旧する」という見方を示しました。
復旧の見通しが、さらにずれこんだ理由について東京電力は、
「1週間かからないというのは、これまでの台風での経験を基に判断
していた。しかし、今回は倒木や土砂などによる、これまでに経験した
ことがない規模の設備損壊だった」と、話しています。
以上の経緯をまとめると、東京電力は、
9月10日の時点で、「9月11日中の完全復旧を目指す」としていた
のに、
9月11日になると、「復旧は9月13日以降になる」と、1度目の修正
をし、
さらに9月13日になると、「9月27日までに、おおむね全面復旧す
る」と、2度目の修正を行ったわけです。
そして、このように復旧の見通しがずれ込んだ理由として
「想定が甘かった」、「これまでに経験したことがない規模の
設備損壊だった」と釈明しており、
つまりは、「想定外だった」と言っているわけです。
* * * * *
ところで、
このたびの大規模停電への対応について、その特徴的な
ことを挙げてみると、
●当事者が「東京電力」。
●甚大な被害が起こっているのに、情報を小出しにして、
「なかなか被害の全容を明らかにしない」。
●言い訳が「想定外」。
などのことが、言えるかと思います。
これらの特徴・・・
なにか以前に起こった大事故と、印象が重なってしまうの
ではないでしょうか。
そう、
2011年の3月に起こった、福島第一原発の大事故です。
この原発事故への対応においても、
●当事者が「東京電力」。
●地震が発生してから5時間後にメルトダウンが起こっていた
のに、それが明らかにされたのは約3ヵ月後。
●原発事故に関するさまざまな言い訳に、「想定外」を連発。
このように、
今回の大規模停電への対応と、福島第一原発事故への対応
とでは、
「印象」が非常によく似ているような気がしてならないのです。
* * * * *
以上、ここまで見てきて私は思うのですが・・・
このたびの大規模停電の復旧に、日数がかかるのなら、かかると、
「正直な見通し」を早い時点で示していれば、
住民の人たちは、遠くても被害のなかった場所で長期の避難をする
とか、あるいは早急に発電機を調達するなどの、
もっと有効的な、さまざまな対策が取れたのではないかと思います。
福島第一原発の大事故のときだって、
「メルトダウン」が起こっている可能性を、もっと早い時点で正直に
公表していれば、
それだけ住民の避難も早くできて、いらぬ被ばくを避けられたの
は絶対に間違いありません!
どうも、東京電力という会社には、
自社のメンツを取り繕(つくろ)うことばかりを優先させて、
「住民を軽視する」という風潮が、存在しているように思えてならな
いのです。
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