韓国に対して思うこと 3
2019年9月1日 寺岡克哉
前回では、
私が名古屋大学の研究室にいたときに、韓国人留学生から
聞いた話を紹介しながら、
それに基づいた「韓国の印象」について、書いてみました。
今回は、その続きです。
* * * * *
さて、
韓国は「徴兵制」をとっているため、
韓国人の男子は、満18才になると、およそ2年間の「兵役」が
課せられます。
18才といえば、高校3年生~大学1年生ぐらいの年頃ですが、
私がいた研究室に配属されてくる韓国人留学生は、「大学院生」
だったので、
特別な理由がないかぎり、みんな「兵役」を経験している人たち
でした。
日本人である私が、「徴兵制」とか「兵役」とか聞くと、
訓練などが厳しくて、上官などが威張っており、自由のない集団
生活を強いられるような、
何だか戦時中の日本軍を連想させるような、「辛くて重苦しい感じ」
がしてしまいます。
ところが、
実際に「兵役」を経験してきた韓国人留学生たちの話を聞いて
みると、
何だか私が想像していたよりも、「楽しくて明るい感じ」がしてしま
うのでした。
ある韓国人留学生は、
(私は平和主義者だと思われているらしく)「寺岡さんは、あまり
良いこととは感じないと思いますが」と前置きしてから、
「射撃訓練で小銃の実弾を打つと、スカッとしてストレス解消にな
る」と、言っていました。
しかし、それは恐らく、
韓国と北朝鮮との「軍事衝突」が起こっていなかったので、
「兵役」といっても、けっこう平和で明るい感じがしたのだと、その
とき私は思いました。
それはそれで、(戦闘によって人が死ぬことに比べれば)とても
良いことなのでしょう。
ところで、今この話を書いていて、ふと思ったのですが、
「多くの韓国人男性が、本物の兵器を扱うことができる(注1)」
ということを、日本人である私たちは、ほとんど意識していない
のでは、ないでしょうか。
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注1:
韓国で兵役免除になる人の割合は、兵役対象者の中で5%
前後といわれており、韓国人男性の95%前後が、兵役を経験
していると思われます。
しかしながら、徴兵検査の判定は1級~7級まであり、1~3級
の者は「現役(現役兵)」、4級は「補充役(社会服務要員(旧・公益
勤務要員))」、5級は「第二国民役(有事時出動)」、6級は「兵役
免除者」、7級は「再検査対象者」となっています。
なので、「本物の兵器を扱える韓国人男性」は、徴兵検査で1級
~3級の判定を受けた者ということになります。
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たとえば、昨年の12月に起こった、
韓国海軍の駆逐艦が、日本の海上自衛隊の哨戒(しょうかい)機
に、火器管制レーダーを照射したという事件にからみ、
海上自衛隊と韓国海軍の戦力を比較して、韓国の軍事力を軽んじ
るような言論が散見されました。
が、しかしながら、
観光やビジネスなどで、一時的に日本に滞在している韓国人男性
も含めて、
多くの韓国人男性が、「本物の兵器を扱うことができる」という事実
を考えれば、
「有事における韓国の底力(そこぢから)」を、あまり甘く見ない方が
賢明のように思えます。
* * * * *
私が韓国人留学生から聞いた話で、最後に紹介したいのは、
「日本人は、物腰(ものごし)が柔らかくて協調的であり、良い人が
多い」
と、いうものです。
韓国人留学生たちに言わせると、
「韓国人の方が、日本人よりも我が強くて、自己主張が激しい」
ので、
韓国人同士よりも、日本人との方が、付き合いやすいぐらい
なのだそうです。
そう言えば、たしかに、
韓国人同士が、韓国語で議論しているところを、傍(はた)から
見ていると、
まるで喧嘩でもしているかのようでした。
ちなみに、
韓国では反日運動がよく行われているにもかかわらず、韓国
から日本に来る観光客が多いのは、
「韓国人同士よりも、日本人との方が、付き合いやすい」とか、
「日本人には良い人が多い」
と感じている韓国人が、もしかしたら、けっこう多いからなのかも
知れません。
ところで、そんな話をしていたとき私は、
「日本人は自己主張が弱く、全体の雰囲気に流れやすいが
ために、
いちど間違った方向へ進んでしまったら、第二次世界大戦の
ときのように、取り返しのつかないところまで国全体が突進して
しまう」
と、いうようなことを、韓国人留学生たちに喋(しゃべ)ってみま
した。
そうすると、ある韓国人留学生が、
「それは、よく分かるような気がする」と言ってくれたのを、今でも
印象深く覚えています。
* * * * *
以上、前回からここまで、
私と韓国人との「個人的な付き合い」から感じた、韓国に対する
印象について書いてみました。
しかしながら、
このたび紹介した韓国人留学生たちとの会話は、もう20年以上
も前に行われたことなので、
いま現在における、韓国の若い人たちの考え方や感じ方とは、
すこし違うかも知れません。
しかし、そうではありますが、
テレビなどのマスコミ報道などから受ける、韓国に対する印象と、
実際に韓国人と会話したことによって受けた、韓国に対する印象
とは、
やはり、かなりのギャップを感じてしまうのは否(いな)めません。
つまり、端的(たんてき)に言ってしまえば、
テレビなどのマスコミ報道を見ていると、私は韓国に対して、
腹が立って腹が立って、どうしようもなくなるのです。
しかしそれは、
おそらく、マスコミによる国民感情の誘導なのでしょうから、
冷静になるように心掛(こころが)けなければならないと、自らを
戒(いまし)めている次第です。
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