参議院選挙の結果に思うこと
                               2019年7月28日 寺岡克哉


 先日(7月21日)に行われた参議院選挙ですが、結果は以下の
ようになりました。

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           獲得議席  非改選議席  改選後議席  改選前議席
自由民主党      57      56       113       122
立憲民主党      17      15        32        24
公明党         14      14        28        25
国民民主党       6      15        21        23
日本維新の会     10       6        16        13
共産党          7       6        13        14
社会民主党       1       1         2         2
無所属          9       8        17        12
諸派           3       0         3         2

合計                            245       237(欠5)
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 上の結果についてですが、

 このたびの参議院選挙で、いちばん大きな意味をもったのは、

 「改憲勢力が3分の2を割った!」ということでしょう。 



 つまり、

 憲法改正に前向きな政党である、自由民主党(113議席)、
公明党(28議席)、日本維新の会(16議席)と、

 無所属の議員のうち憲法改正に前向きな者(3人)を合わせて
も160議席となり、

 参議院の定数(245議席)の、3分の2以上(164議席以上)
には届かなかったのです。


             * * * * *


 この、

 参議院において「改憲勢力が3分の2を割った」ということの意味
を知るには、

 「憲法改正の手続き」について、ちょっと知っておかなければなり
ませんが、

 それは以下のようになっています。



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               憲法改正の手続き

 国会議員(衆議院100人以上、参議院50人以上)の賛成により、「憲法
改正案の原案」が発議されます。

 この「憲法改正案の原案」が発議されると、衆議院と参議院の各議院に
おいて、それぞれの憲法審査会で審査されたのち、本会議に付されます。

 衆議院と参議院それぞれの本会議において、3分の2以上の賛成で
可決した場合、国会が「憲法改正の発議」を行い、国民に提案したもの
とされます。


 「国民投票」は、「憲法改正の発議」をした日から起算して60日以後180
日以内において、国会の議決した期日に行われます。

 国民投票において、賛成の投票の数が投票総数(賛成の投票数と反対
の投票数を合計した数)の2分の1を超えた場合は、「国民の承認」があっ
たものとなります。

 憲法改正について「国民の承認」があったときは、天皇が、国民の名で、
この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布します。
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 上記のうち、このたびの選挙結果に関係するのは、

 「衆議院と参議院それぞれの本会議において、3分の2以上の賛成
で可決した場合、国会が憲法改正の発議を行い、国民に提案したもの
とされる」


 という部分です。



 つまり、

 憲法改正の「国民投票」を行うためには、衆議院と参議院の両方で、
3分の2以上の賛成で可決する必要があり、

 どちらか一方でも、3分の2以上の賛成が無ければ、「国民投票」を
行うことができないのです。



 いま現在、

 「衆議院」においては、改憲勢力が3分の2以上を占めている状況な
ので、

 「参議院」において、改憲勢力が3分の2を割ったというのは、

 憲法改正を進める安倍政権にとって、ものすごく大きな打撃となった
わけです。


            * * * * *


 私は思うのですが・・・ 

 このたびの参議院選挙は、「国民の微妙なバランス感覚」というのが、

 良く表れた結果になったのでは、ないでしょうか。



 つまり、いま現在の日本は、

 「北朝鮮の脅威」や「米中貿易摩擦」、さらには「日韓関係の悪化」
などにたいし、

 「政権を安定させて、迅速な対応をとること」が、ものすごく重要に
なっています。

 そのような状況下で、

 いわゆる「ねじれ現象」などは起こらず、衆議院も参議院も、与党側
が過半数の議席を占めることとなりました。



 が、しかし、その一方で、

 参議院における改憲勢力の議席数が、定数の3分の2を割り込ん
だことにより、

 憲法改正に「待った!」が、かかった形となったのです。



 このように、

 「国民の微妙なバランス感覚」が良く表れたのではないかと、

 このたびの参議院選挙の結果にたいして、私は思った次第です。



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