日韓関係が悪化 6
                              2019年2月17日 寺岡克哉


 現在、日本と韓国の関係が「悪化の一途」をたどっていますが、

 その上さらに、火に油をそそぐような出来事が起こりました。



 韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長は2月7日。

 ブルームバーグ(注1)とのインタビューで、日本と韓国の長年の懸案
である「従軍慰安婦問題」が、

 日本の天皇による元慰安婦への謝罪の一言で解決するという見解を
示したのです。



 このインタビューで文・議長は、

 「一言でいいのだ」

 「日本を代表する首相かあるいは、私としては間もなく退位される天皇
が望ましいと思う」

 「その方は戦争犯罪の主犯の息子ではないか」

 「そのような方が一度おばあさんの手を握り、本当に申し訳なかったと
一言いえば、すっかり解消されるだろう」

 と、語ったというのです(注2)



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注1 ブルームバーグ:
 アメリカのニューヨークに本社があり、経済や金融情報の配信や、通信社
・放送事業などを手がける、大手の総合情報サービス会社。

注2:
 原題:South Korea Lawmaker Seeks Imperial Apology for Japan Sex
Slaves(抜粋)の日本語訳によるもの。
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 ちなみに日本では、

 今年の5月に、新しい天皇が即位して、元号も新しく変わります。



 そのため、いま現在の日本は、

 「お祝いムード」といいますか、「天皇に対する関心」が、けっこう
高まっている時期のように思えます。



 そのような時期に、

 いきなり「天皇による謝罪」を求められたり、「戦争犯罪の主犯の
息子」などと言われては、

 日本人の率直な国民感情として、かなり「逆なで(さかなで)」されて
しまうのも、無理はないと思います。



 そして日本側は、安倍首相をはじめとして、河野外相などが、

 韓国側に対して猛烈な抗議を行いました。



 たとえば安倍首相は、2月12日の衆議院・予算委員会で、

 「本当に驚いた。直ちに外交ルートを通じ、甚だしく不適切な内容を
含み極めて遺憾だと厳しく申し入れた」と述べて、

 韓国側に抗議するとともに、「謝罪と撤回」を求めたことを明かして
います。



 また河野外相は、同じく衆議院の予算委員会で、

 「(文喜相・議長の発言は)到底受け入れられない。極めて無礼な
発言だ」と批判した上で、

 「韓国側が誠意を持った対応をすると期待している」と、語っています。


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 ところが、

 アメリカを訪問中の、韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長は
2月12日。

 天皇による謝罪で慰安婦問題が解決するとした自分自身の発言
にたいし、安倍首相らが抗議していることについて、

 「到底理解できない」と述べました。

 さらには、日本側からの謝罪要求も拒否しました。



 ワシントンで韓国記者団と懇談した際に、文喜相(ムン・ヒサン)
国会議長は、

 「心からの謝罪が一言あれば終わる話を、なぜ(日本側が)長い間
引きずっているのかというのが、私の話の本質だ」と、強調しました。



 その上で、自分自身が10年前から話してきた持論だとして、

 「(元慰安婦の)被害者の最後の許しが出るまで、(日本側が)謝罪
しろということだ」と、述べています。



 さらに文・国会議長は、日本政府が「謝罪と撤回」を求めていること
についても、

 「謝罪する事案ではない」と一蹴(いっしゅう)し、態度を硬化させた
のです。


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 以上、ここまで見てきましたが・・・ 

 これでは、いくら日本側が冷静になろうと努力しても、

 反韓感情が日本国内で沸き上ってしまうのは、仕方がないのでは
ないでしょうか。



 日本側としては、できる限り冷静に対処しなければならないのは
当然ですが、

 しかしながら、もうそろそろ、それも限界近くに達しているような気が
してなりません。



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