あおり運転で懲役18年
                              2018年12月16日 寺岡克哉


 前回で取り上げましたように、

 東名高速道路における「あおり運転」の事件(注1)で、裁判員裁判
が行われていましたが、

 横浜地方裁判所は12月14日、被告の男(26歳)にたいして、

 懲役18年の判決を言い渡しました。


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注1:
 26歳の男が、昨年の6月。神奈川県・大井町の東名高速道路で、一家
4人(両親と、娘二人)が乗っていたワゴン車にたいして「あおり運転」を
行ない、
 高速道路の「追い越し車線」に、ワゴン車を強制的に停車させ、その後、
大型トラックがワゴン車に追突して、夫婦(両親)の2人が死亡したという
事件。
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 ちなみに、

 「東名あおり訴訟判決」の要旨によると、量刑の理由は、以下の
ようになっています。

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        量刑の理由 (判決の要旨からの抜粋)

 被告は夜間で相応の交通量がある高速道路で短時間に4回もの妨害
運転をしており、それ自体が危険な態様だ。何度も止められたにもかか
わらず、妨害運転や暴行に及んでおり、強固な犯意に基づく執拗(しつ
よう)な犯行だ。複数人が死傷した結果は重大で、家族旅行の帰りに
突然命を奪われた被害者夫婦の無念さは察するに余りある。両親を
一度に失った遺族の悲しみは深く、被告に厳罰を求めるのも当然だ。

 身勝手で自己中心的な動機から短絡的に犯行に及び、酌むべき余地
はない。犯行は被害者からの非難がきっかけになっているが、そもそも
被告が通路に自車を駐車していたのが問題で、非難されたからといって
今回の犯行に及ぶのは常軌を逸している。同種事案の中でも重い部類
に属する。他の事件を含め、約3カ月半で4件の犯行を行ったのは強い
非難に値する。被告は二度と運転しないなどと反省の弁を述べているが、
真摯(しんし)な反省とまでは評価できない。刑事責任は重大で、保険に
よる相当額の損害賠償が見込まれることなどの事情を考慮しても、懲役
18年の刑は免れない。

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 この判決について、被害者の長女(17歳)の方は、

 「私たちの気持ちを考慮してくれた。ありがとうございます」

 という、コメントを出しています。



 じつは私も、

 この事件は「ものすごく悪質だ!」と感じており、

 懲役18年という刑罰は、まったく当然のように思います。



 もしも、

 弁護側が裁判で主張していたように、「重くても懲役7年が相当」
という程度の刑罰だったら、とても私には納得できません。

 おそらく、

 被害者の遺族の方々も、そして読者の皆さんも、同様ではないか
と思います。



 これから先、この案件については、

 高等裁判所に控訴(こうそ)されたり、さらには最高裁判所に上告
される可能性もありますが、

 それらの上級審によって、刑罰が軽くなるようなことが無いようにと、

 私は祈るばかりです。



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