あまりにも理不尽な死
2018年12月9日 寺岡克哉
昨年の6月。
26歳の男が、神奈川県・大井町の東名高速道路で、
一家4人(両親と、娘二人)が乗っていたワゴン車にたいして、
「あおり運転」を行ない、
高速道路の「追い越し車線」に、ワゴン車を強制的に停車させ、
その後、大型トラックがワゴン車に追突したため、
夫婦(両親)の2人が死亡したという事件がありました。
いま現在、
その事件についての「裁判員裁判」が続けられていますが、
12月4日に、被害者(両親)の長女(17歳)が法廷に出て、
検察官から被告に言いたいことを尋ねられると、
「注意されただけ(注1)で怒ってしまうのがくだらないし、不思議」
「今後一切このようなことをしないでほしい」
と、非難したといいます。
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注1:
被告の男は、「パーキングエリアで車を止めていたら、 (被害者で
ある夫・父親)から ”邪魔だ” と言われてカチンときて、文句を言おう
と追いかけた」と、証言しています。
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くだらないし、不思議・・・
私には、
被害者の長女の方が発した、この言葉が、とても印象に残りました。
私が思うには、
「不思議」というのは、おそらく「理解不能」ということでしょう。
なので恐らく、被害者の長女の方は、
「私の両親は、くだらなくて理解不能な理由によって殺された!」
と、法廷で言いたかったのだと思います。
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ところで、私事(わたくしごと)で恐縮ですが・・・
私の母は、ガンで死んだのですが、
それまでに手術を3回、放射線治療を2回、そして多種の抗癌剤に
よる治療を行った後に、
ついに治療の手だてが無くなって、あの世に旅立ったのでした。
そのような治療を続けていた間、
私の母は、一生懸命に「生きるための努力」をしていたと、言える
でしょう。
その一部始終を、目(ま)の当たりにしてきた私には、
「人の死」というのは、真剣に、一生懸命に生きるための努力を
行い、全てをやりきった後に、来るべきものであって、
けっして、「くだらなくて不思議な死」など、あってはならないという
思いが、とても強く込み上げてきます。
そんな私から見ると(おそらく皆さんも同じだと思いますが)、
いま裁判が行われている、「あおり運転」が原因になった死は、
ほんとうに、「あまりにも理不尽(りふじん)な死」であったと、
言わざるを得ません。
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