日産のゴーン会長を逮捕
                              2018年11月25日 寺岡克哉


 東京地検特捜部は、11月19日。

 ルノー(フランスの自動車メーカー)と日産自動車および三菱自動車
の会長を兼務する、カルロス・ゴーン容疑者(64歳)を、

 金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載:注1)の容疑
で逮捕しました。


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注1 有価証券報告書の虚偽記載

 株式などの有価証券を発行している企業は、財務などの情報を公開
するため、「有価証券報告書」というのを作成します。

 そして「有価証券報告書」には、会社の業績や経営方針、役員ごと
の報酬額などを記載する必要があります。

 この「有価証券報告書」は、投資家の重要な判断材料となるため、

 虚偽の記載をした場合は、10年以下の懲役もしくは1千万円以下
の罰金、または、その両方を科すことが、「金融商品取引法」によって
定められています。

 また、

 会社の代表者らが金融商品取引法を違反した場合は、法人(会社)
に対して、7億円以下の罰金を科すという「両罰規定」もあります。
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 東京地検特捜部は、逮捕の理由として、

 カルロス・ゴーン容疑者が、日産自動車の有価証券報告書に、

 自分自身の役員報酬を、合計およそ50億円分を過小に記載
して、申告したとしています。


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 一方、同11月19日の夜。

 日産自動車の西川(さいかわ)社長が、本社で記者会見し、

 ゴーン容疑者の主な不正として、有価証券報告書の虚偽記載と、
私的な目的での投資金支出、および経費支出の3点が確認された
と明らかにしました。



 この不正問題については、

 「内部通報」によって端を発し、監査役の問題提起を経て、数ヶ月
の社内調査をしており、

 西川社長は、「強い憤(いきどお)りと落胆を覚えている」と、述べ
ました。


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 東京地検特捜部による、カルロス・ゴーン容疑者への捜査は、
いま現在においても進められており、

 11月23日の時点で、有価証券報告書に記載しなかった報酬は、
逮捕容疑の50億円を含め、少なくても120億円前後に上るとみら
れています。

 この他にも、今後さらに、さまざまな不正が明らかになって行くの
かもしれません。



 ところで、私は思うのですが・・・ 

 ゴーン容疑者は、日産自動車の業績を回復させるために、

 21000人ものリストラを、強引に行なったと言われています。



 なので恐らく、

 リストラされた従業員の方々や、その家族の方々が、

 それぞれの人生において、ものすごく大変な状況に陥(おちい)った
のは、絶対に間違いありません。



 しかし、それも、

 日産自動車という会社の全体を、倒産の危機から救うためには、

 ほんとうに仕方がなかったのかも知れません。



 しかしながら私は、

 大規模なリストラを尻目(しりめ)に、陰(かげ)に隠れて不正を行ない、

 私利私欲を貪(むさぼ)った、カルロス・ゴーン容疑者の「人間性」に
たいしては、

 ものすごく大きな疑問を、感じずにはいられない次第です。



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