アメリカの中間選挙 1
                              2018年11月11日 寺岡克哉


 11月6日に、アメリカで「中間選挙」が行なわれました。


 ところで、

 「中間選挙」という言葉は、マスコミでよく耳にするのですが、

 じつは私は、その正しい意味を、今までよく知りませんでした。



 それで、ちょっと調べてみたのですが、

 まずアメリカ議会には、下院と上院があり、下院議員の任期は2年で、
上院議員の任期は6年となっています。

 そのため、アメリカでは2年ごとに、

 下院の総選挙が行われ、また、上院定数の3分の1が改選されます。



 一方、

 アメリカ大統領の任期は4年なので、大統領選挙は4年ごとに行なわ
れます。


 なので、アメリカの議会選挙は、

 大統領選挙と同じ年に行われるものと、大統領の任期のちょうど
「中間の年」に行われるものとが、交互にやってきます。


 そして、これら議会選挙のうち、

 大統領選挙と重ならない年に行われるもの(つまり、大統領の任期の
「中間の年」に行われるもの)が、

 「中間選挙」と呼ばれているのでした。



 だから「中間選挙」というのは、

 アメリカ下院の総選挙と、上院定数の3分の1の改選のことだった
わけです。


              * * * * *


 さて中間選挙の結果ですが、11月8日の午後の時点において、


 まず下院は、定数435議席のうち、

 与党の共和党(つまり、トランプ大統領が所属している党)は、
200議席にとどまり、

 野党の民主党が、225議席を獲得しています。

 つまり、民主党が8年ぶりに過半数の議席を奪還したのです!



 そして一方、上院は、

 定数100議席のうち、35議席が改選されましたが、その結果は
11月8日の午後の時点において、

 共和党が51議席で、民主党は46議席となっており、共和党が
過半数の議席を獲得しています。



 ちなみに同時点において、下院の10議席と、上院の3議席が
「未確定」になっていますが、

 得票数が僅差(きんさ)の一部の地区では、再集計が必要となる
可能性も出ており、開票作業は11月の下旬までかかる見通しです。



 とにかく、

 下院と上院とで多数派の政党が異なるという、「ねじれ現象」
起こりました。

 なので、

 今後トランプ大統領は、いろいろと「やりにくく」なったのは確かで
しょう。


             * * * * *


 ところで、

 私たち日本人にとって、いちばん気になるのは、「日本への影響」
です。



 これに関して日本政府は、

 アメリカの基本的な外交政策に変化はなく、日本とアメリカの関係
に大きく影響することはない

 と、みているようです。



 日本政府は、このたびのアメリカ中間選挙の結果について、

 ワシントンの日本大使館などを中心に分析を進めていますが、

 外務省の幹部は、「トランプ政権に打撃となるのは間違いない」と
指摘しています。



 ただし、

 アメリカ議会が「ねじれ現象」になっても、基本的な外交政策が変化
することはなく、

 日本とアメリカの関係には、「大きく影響することはない」とみており、

 引きつづき日本とアメリカが緊密(きんみつ)に連携(れんけい)して、
北朝鮮の問題などにあたって行くとしています。



 しかしながら、

 アメリカ議会の「ねじれ現象」によって、予算案や法案の成立などが
難しくなった場合、

 トランプ大統領は、大統領の権限で実行できる「貿易政策」などに
集中するとみられており、

 トランプ大統領の公約である「貿易赤字の削減」に向けて、各国への
姿勢がさらに厳しくなる可能性があります。

 なので、

 日本との貿易問題に関しても、トランプ大統領は、さらに厳しい要求を
突き付けてくるかもしれません。


              * * * * *


 ところで恐らく、

 トランプ大統領が、いちばん大きな懸念(けねん)を抱(いだ)いている
のは、

 野党の民主党が多数派になった下院において、「ロシア疑惑」が追及
されることでは、ないでしょうか。



 申し訳ありませんが、 それについては次回でレポートしたいと思います。



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