今年のノーベル賞に思うこと
2018年10月21日 寺岡克哉
今年のノーベル賞といえば、
ノーベル医学・生理学賞を受賞した、京都大学名誉教授の本庶佑(ほん
じょ・たすく)さんが、日本のマスメディアを賑(にぎ)わせました。
もちろん、これは、
日本人にとって、たいへん喜ばしいことであるのは、間違いありません。
* * * * *
しかしながら私は、
ノーベル経済学賞を受賞した、アメリカ・エール大学の、ウィリアム・ノード
ハウス教授の業績にたいして、ものすごく感銘を受けました。
というのは、
世界の経済活動によって、二酸化炭素が大量に排出され、
それが、地球温暖化による「気候変動」をもたらし、社会全体に重大な
影響を及ぼすことを、
ノードハウス教授が、学問的に明らかにしたからです。
今でこそ、
「二酸化炭素の排出削減によって、2100年までの世界の気温上昇を、
産業革命前にくらべて2℃未満に抑えなければならない」
ということが、世界の共通認識になっていますが、
しかしノードハウス教授は、今から41年も前の、1977年という時点に
おいて、
「2℃以上の気温上昇があった場合に、社会への重大な影響が生じる」
という論文を、発表していたといいます。
ちなみに41年前といえば、私が14歳の時であり、
その時はもちろん、地球温暖化の問題が、世間一般で取り上げられる
ことなど全くなく、
近年のように、猛暑、豪雨、竜巻などの「異常気象」が頻発することも、
ありませんでした。
そんな以前のときから、
地球温暖化による気候変動によって、社会全体に重大な影響を及ぼ
すことを予見していたなんで、
ほんとうに、ものすごい「先見の明」だと感服してしまいます!
* * * * *
ところで一方、
ノードハウス教授と同じアメリカ人である、トランプ大統領はといえ
ば・・・
地球温暖化を防止するための国際的な枠組みである、「パリ協定
(注1)」からの離脱を表明し、
地球温暖化対策の世界的な足並みを、思いっきり乱しています。
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注1 パリ協定:
2015年12月にフランスのパリで行なわれた、第21回・気候変動
枠組み条約締約国会議(COP21)で採択された、国際的な協定。
1997年に採択された「京都議定書」以来の、気候変動に関する
国際的な枠組みであり、2020年以降の地球温暖化対策を定めて
います。
ちなみに「パリ協定」は、気候変動枠組み条約に加盟している
196ヵ国すべてが参加する枠組みとしては、世界初です。
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ほんとにトランプ大統領は、ノードハウス教授と同じアメリカ人なの
でしょうか?
そのように疑ってしまいたくなるほど、トランプ大統領の地球温暖化
に対する認識は、
「世界の常識」と「時代の流れ」から、取り残されているように思えて
なりません。
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