北海道胆振東部地震 3
                               2018年9月30日 寺岡克哉


 今回は、

 地震が発生してから、およそ12時間後の、午後3時ごろに、

 近所のスーパーマーケットに「買い物」に行ってみたことについて、

 ご紹介したいと思います。


            * * * * *


 9月6日の午後3時ごろ・・・ まだ停電は復旧していませんでした。


 停電が復旧しなければ、スーパーマーケットの「レジ」が動くわけが
なく、

 バーコード化された「商品の値段」を読み取ることもできず、会計など
出来るわけがないと思いました。



 なので、

 停電が復旧しなければ、スーパーマーケットに行っても無駄だと思い、
ずっと停電が復旧するのを待っていたのですが、

 しかし、なかなか停電が復旧しないので、無駄だとは思いつつも、

 日が暮れて暗くなる前に、いちおう近所のスーパーマーケットに行って
みることにしたのです。


             * * * * *


 屋外に出て、道路を歩いて行くと、やはり、交差点の信号が消えて
いました。

 しかし、そんな状態でも「車が走っていた」ので、信号が消えていると、
どのタイミングで道路を渡ればよいのか分からず、けっこう難儀しました。



 たとえば車同士では、衝突をしないように、ずいぶん慎重な運転をして
いましたが、

 しかし「歩行者」に対しては、ずいぶん横柄な感じの運転をしているよう
に見えました。



 だから道路を渡るときは、細心の注意をして、駆け足で渡るしかありま
せん。

 ゆっくり歩いて道路を渡っていたら、車に轢(ひ)かれかねないような、
そんな危険を感じざるを得ない状況でした。


             * * * * *


 近所のスーパーマーケットに到着してみると、出入り口のところに、
人の行列ができていました。

 何やら、品物が売っているみたいなので、その行列の後ろに並んで
みることにしました。



 行列の前の方に来ると、店の様子がすこし見えましたが、すべての
照明が消えているので、店の中の方は「真っ暗」でした。

 そのため、日の光が入る「出入り口のスペース」に、「買い物かご」に
入れられた商品が、露天商のように並べられていました。



 「菓子パン」や「カップめん」などの商品には、バーコードでは値段が
分からないので、1つ1つマジックペンで値段が書かれていました。

 そして「会計」は、店員さんが「電卓」でやっていました。

 「おつり」は、100円玉や50円玉、10円玉などが、すこし大き目の
籠(かご)に、たくさん入っていて、そこから取り出して払っていました。

 そう言えば、商品の値段は10円が最少単位で、5円玉や1円玉など
は、「おつり」に無かったような気がします。

 なんとなく「昔の市場」のような、そんな買い物の仕方でした。



 ちなみに、私が買ったのは、

 さとうの切り餅、菓子パン、カップめん、割り箸、マッチ、単3電池です。



 「切り餅」は、オーブントースターが停電のために使えないので、「焼く」
ことはできませんが、

 ガスコンロが使えたので、ナベで「お湯」を沸かし、その中に餅を入れて
少し煮ると、すぐに柔らかくなって食べることができます。

 以前に大学山岳部に所属していたときは、そのようにして山で餅を食べ
ていました。



 ちなみに、

 じつは「紙コップ」が欲しかったのですが、残念ながら売っていません
でした。


            * * * * *


 少しは「買い物」ができたので、家に帰り、

 リビングルームにあるソファーに寝そべって、ラジオを聞いていると、

 「停電」は北海道の全域で起こっていて、復旧には時間がかかり、

 ごく一部の地域でのみ、本日(9月6日)中に復旧できる見込みが
あるようなことを、報道していました。



 「今日中に、わが家の停電が復旧するのは無理かな」と思いながら、
その後しばらくラジオを聞いていると、

 とつぜん目の前が「真っ白」になり、いったい何が起こったのか、数十
秒ほどの間、まったく理解できませんでした。



 つまり、何が起こったのかと言うと、

 私はソファーに寝そべって上を向いていたので、リビングルームの
蛍光灯が、視野の中に入っていたのですが、

 スイッチを入れたまま停電になったので、その状態で蛍光灯が消えて
いました。

 ところが、思いもよらず停電が復旧して、

 いきなり蛍光灯が点(つ)いたため、光った蛍光管を直接に見てしまった
わけです。



 ものすごく幸運なことに、

 私が住んでいる地域では、9月6日の午後5時ごろに、停電が復旧しま
した。

 (後でテレビの報道で知ったのですが、まだこの時点では、北海道全体
の10%の戸数しか、停電が復旧していなかったのです。)



 水道の蛇口を開いてみましたが、水道も復旧しています。

 これで、「洗い物」でも何でもできます!



 なんとか生活の心配が無くなり、テレビも見ることが出来るようになって、

 不自由で窮屈な環境から一挙に解放されたような、そのような「解放感」
と「嬉しさ」を、

 思わず感じてしまいました。


            * * * * *


 ところで、

 このたびの地震の体験で分かったこと(教訓など)ですが・・・ 

 それについては、まとめて次回で紹介したいと思います。



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