北海道胆振東部地震 1
                               2018年9月16日 寺岡克哉


 今回から、

 北海道胆振(いぶり)東部地震によって私の体験したこと、思ったこと、
感じたこと、考えたことなど・・・ 

 つまり、

 私の「個人的な視点」から見た、地震についての状況を、ご紹介して
行きたいと思います。


             * * * * *


 まず事(こと)の起こりは、9月6日の午前3時ごろ・・・ 

 私は、そろそろ寝ようと思いながら、ウイスキーの水割りを飲み、イン
ターネットの動画を見ていました。

 そうすると、まず微(かす)かな揺れを感じたので、「地震かな?」と思い
ました。

 その揺れは、すぐに収まるだろうと思ったのですが、

 しかし、なかなか揺れが収まらないどころか、その逆に、だんだん揺れ
が大きくなって行くように感じました。



 「これは大きいのが来る!」と、そのとき咄嗟(とっさ)に思い、急いで
父の寝室に行きました。

 私は、父と二人暮らしをしていますが、父の寝室には大きなタンスが
あります。

 そのタンスには、地震による転倒防止の「つっかえ棒」を、タンスの上部
と天井との間に設置しており、

 さらには、タンスの上部と、背後の壁とを、転倒防止の鎖(くさり)で
繋(つな)いでいるのですが、

 しかし、もしもタンスが倒れたら、父が下敷きになるのは確実でした。

 なので、タンスが倒れないように私の手で押さえるために、父の寝室へ
急いで行ったのです。



 ちなみに、

 2011年に起こった「東日本大震災」のとき、父の寝室のタンスには
鎖(くさり)を付けていたのですが、地震によって鎖が切れていました。

 幸いにもタンスは倒れなかったのですが、その後、念のために、鎖の
ほかに転倒防止の「つっかえ棒」も設置することにしたのです。

 とにかく私の家では、大きな地震が起こったときには、父の寝室のタン
スが、いちばんの心配事なわけです。



 さて、

 父の寝室に急いで行き、私がタンスを押さえたのと同時に、「大きな
揺れ」がやってきました。

 その大きな揺れは、30秒ぐらい続いたように感じましたが、その間、
私は必死になってタンスを押さえていました。

 私が住んでいる場所では、「震度5強」の揺れを感じましたが、幸い
にもタンスは倒れませんでした。


              * * * * *


 大きな揺れが収まったので、私は父の寝室から、自分の部屋に戻って
みました。

 そうしたらテレビが倒れており、立て直してスイッチを点(つ)けてみたら、
画面に「ひび」が入っていました。

 壊れたテレビのコンセントを、いつまでも入れっぱなしにして置くと、火事
になる危険性があると思い、テレビのコンセントを抜きました。



 そして、リビングルームに行き、

 そこにあるテレビ(こちらは倒れずに大丈夫でした)を、父と二人で見て
いました。



 ところが、しばらくすると「停電」になってしまったのです。

 夜中だったので、急に真っ暗になり、何も見えなくなりました。

 手探りで懐中電灯を取ろうとしましたが、しかし、私の方向感覚が90°
ほど狂っていたので、関係のない場所を手探りしてしまい、

 そのことに気がつくまで、なかなか懐中電灯を取ることが出来ません
でした。

 「急に真っ暗になると方向感覚が狂う」ことなど、私には初めての体験
でした。


              * * * * *


 懐中電灯を点けて、家の中を「見る」ことが出来るようになったので、

 トランジスターラジオを取り出してスイッチを入れました。



 ちなみに私は、

 以前に登山をしていたので、山で天気図を書くための小型のトランジス
ターラジオを持っていたのです。

 最近では、もっぱら野球中継を聞くのに使っていましたが、このような
状況になると、スマホを持っていない私にとっては「唯一の情報源」でした。



 ところで、停電になって最初のうちは、

 「停電など30分ぐらいで復旧するだろう」と、軽い気持ちでいました。

 ところが、このたびの停電は、なかなか復旧しなかったのです。



 懐中電灯の明りしかなく、「シーン」と静まり反っている家の中では、

 ラジオの声と、そこから流れる情報だけが、唯一不安を和らげてくれ
ました。



 これと言って何もすることがなく、また、何かできる訳でもないので、

 そのまま夜が明けるまで、ラジオの声に耳を傾けて、情報を収集して
いました・・・ 


             * * * * *


 申し訳ありませんが、この続きは次回で紹介したいと思います。



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