国の機関の8割が不正!
                                2018年9月2日 寺岡克哉


 日本全体を揺るがす、前代未聞の不祥事(ふしょうじ)が発覚
しました。

 なんと、国の機関の8割が、「不正」を行っていたのです!


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 日本政府は8月28日。

 中央省庁が雇用した障害者の数を「水増し」していた問題で、

 昨年6月の時点における障害者の雇用数を、実際よりも多く
算定(つまり不正算定)した省庁が、

 全体(33機関)のうち、その8割を超える27機関に上っていた
ことを公表しました。



 水増し分は、全体で3460人に上っており、

 平均の雇用率も、当初は2.49%と発表していたのに、

 実際には、その半分以下の1.19%となっていたのです。



 また、

 当時の法定雇用率(2.3%)を「満たした」としていた機関のうち、

 16の機関が、実際には0%台の雇用率だったといいます。



 ちなみに、

 不正算入(水増し)が最も多かったのは、国税庁の1022.5人
(短時間労働者は0.5人として計算)となっており、

 これに続いて、

 国土交通省が603.5人、法務省が539.5人、防衛省が
315.0人、財務省が170.0人、農林水産省が168.5人、外務
省が125.0人、経済産業省が101.5人、総務省が70人

 などと、なっています。


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 上の政府の公表と前後しますが、その前日の8月27日。

 日本障害者協議会は、中央省庁が雇用した障害者の数を「水増し」
していた問題にたいして、

 「法を順守しなければならない行政による、国民への背信行為だ」

 「障害分野に走った衝撃は計り知れない」

 と非難する、声明を発表していました。



 その声明では、

 40年以上にわたって、「不正算入」(つまり障害者雇用数の水増し)
を正せなかった厚生労働省の、責任の重大さを指摘しており、

 「行政の指導力が鈍り、企業が不信を抱くのは当然」として、

 民間企業による障害者の雇用に、悪影響が及ぶことへの懸念を示し
ています。



 その上で、

 徹底した真相の解明と、透明性の高い検証体制の確立を求めており、

 「前代未聞の出来事が、障害者の労働・雇用政策の抜本的な改革の
契機となることを願う」

 と、強調しています。


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 ところで、

 一定以上の障害者を雇っていない企業に負担を求める「障害者雇用
納付金制度」に基づいて、

 2017年度に企業が国に支払った納付金は、293億円に上ってい
ます。



 この「障害者雇用納付金制度」を所管している、「高齢・障害・求職者
雇用支援機構」によると、

 障害者雇用の基準を満たさなかった企業から納付された293億円
のうち、

 227億円が、基準を上回った企業に「調整金」などとして支給されて
いました。



 このように、

 民間企業は、障害者雇用の基準を満たさないと、「罰金」の形で
納付金が求められるのに対し、

 その一方で、

 「水増し雇用」が発覚した中央省庁などには、まったく罰則が無い
ので、

 官庁と民間を比べると、「明らかに不公平」な制度となっています。


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 以上、ここまで見てきましたが、

 どうやら、中央省庁などは罰金が無いのをいいことに、

 40年以上にわたって、不正算入(つまり障害者雇用数の水増し)を、
続けてきたと思われます。



 こんなにも長期にわたって、大多数(ほとんど全部)の日本国民
が、欺(あざむ)かれてきたのです!

 ほんとうに、前代未聞の不祥事(ふしょうじ)であると、言わざるを
得ません!




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