高校野球の「丸刈り」に思うこと
                               2018年8月19日 寺岡克哉


 今年も「夏の甲子園」の季節になりましたね。

 とくに今回は、「100回目」の大会ということで、例年よりも盛り上がって
いるように感じます。



 ところで・・・ 

 私は、ずっと以前(およそ40年ぐらい前)から、高校野球にたいして
疑問に思っていたことがありました。

 それは、

 なぜ、高校の野球部員は、頭を「丸刈り」にすることを「強要」されるの
かということです。



 ちなみに、

 私が高校生だったときのクラスメートに、野球部員がいたのですが、

 「できることなら ”丸刈り” にはしたくないけれど、そうしなければ野球
部に居られなくなる」

 と、いうようなことを言っていたのを、今でもうっすらと覚えています。

 そして、そのクラスメートは、3年生になって部活が終了すると、さっそく
髪を伸ばし始めていました。



 おそらく、その頃あたりから、

 「なぜ、高校の野球部員は ”丸刈り”を強要されるのか?」

 という疑問が、私の心の中に住みついたのだと思います。


            * * * * *


 そしてまた・・・ 

 夏の甲子園大会は、8月15日の「終戦記念日」をはさんで行われる
ので、

 若い男子の「丸刈り」の集団を見ると、旧日本軍の兵隊と、印象が
重なってしまうようにも感じます。



 何といいますか、

 「戦前的な価値観」というか、「全体主義的」というか、「軍国主義的
な匂い」というようなものを、

 高校球児の「丸刈り」から、どうしても感じ取ってしまうのです。



 そのような訳で私は、

 高校野球における「丸刈り」には、あまり良い印象を持っておらず、

 「できることなら丸刈りなんか、やめてしまった方が良い」と、思って
いるぐらいです。


             * * * * *


 ところで、

 高野連(日本高校野球連盟)によると、「高校野球では、髪型に
規則などは無い」と、いうことです。



 そして事実、

 今年の夏の甲子園に10年ぶりで出場した「慶応義塾高校」は、

 「長髪のチーム」です。



 慶応義塾高校の監督は、野球部員にたいして、

 「日本の高校野球を変える。長髪でも勝てることを証明しよう」

 と、語りかけたといいます。



 また、慶応義塾高校の野球部員たちも、

 「風潮を変えたい」

 「ウチみたいなチームが勝ち上がって、高校野球の旧態依然
(きゅうたいいぜん)のイメージを払拭(ふっしょく)したい」

 「最前線を行っているのは僕らだ、という信念がある」

 と、声を揃(そろ)えて抱負を語っています。


             * * * * *


 さらには、

 北北海道の代表で甲子園に出場した「旭川大学高校」は、

 「丸刈りを禁止」しています。



 これによって、

 「自由な髪型でも恥ずかしくないプレーを」と、選手の意識改革
を図っているそうです。

 旭川大学高校の監督は、「髪の長さとチームの強さは、関係な
い」と、断言しています。



 また、チームの主将を務めた選手は、

 「髪型(丸刈り)の強制は、野球人口が減っている原因の一つ
だと思う」

 「甲子園で髪の長さが話題になれば、いい影響を及ぼせるの
では」

 と、真剣な表情で語りました。


             * * * * *


 高校野球の甲子園大会は、これまで100年間、続いてきました。


 そして今後さらに、

 つぎの100年に向けて、高校野球の将来を考えるならば・・・ 


 「丸刈り」などという、旧態依然(きゅうたいいぜん)とした古臭い風習
などは捨て去って、

 新しい時代に適(かな)うように、生まれ変わって行くべきではないか
と、

 私は大いに思う次第なのです。



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