東京医科大学の入試差別
2018年8月12日 寺岡克哉
ソフトボール女子の世界選手権の決勝で、日本はアメリカに惜しく
も敗れ、準優勝となりました。
しかしながら、その熱い戦いぶりは、プロ野球や高校野球の甲子園
大会に勝るとも劣らない感動を、たくさんの人々に与えたことと思いま
す。
いま挙げたソフトボールは一例ですが、このように近年では、
男性たちにも負けない活躍をする女性たちが、さまざまな分野で
現われるようになりました。
ところが!
そのように日本の社会が変わりつつあるのにも拘(かかわ)らず、
まったく前時代的な「女性差別」を行っている分野があったの
です。
以下、それについて見て行きましょう。
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8月7日。
東京医科大学の不正入試問題(注1)について、
内部調査委員会(3人の弁護士で構成)が、東京都内で記者会見
をして、
大学側への「調査報告書」を公表しました。
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注1 東京医科大学の不正入試問題:
東京医科大学が、医学部・医学科の一般入試で、女子受験生たちの
合格者数を意図的に減らしたり、
文部科学省の前局長の息子を、一般入試で不正に合格させたりした
とされる問題。
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この調査報告書によって、
医学部・医学科の2次試験の小論文で、少なくても2006年の入試
から、
女子や3浪以上の男子にたいして、合格者数を減らすための「得点
操作」を、繰りかえしていたことが分かったのです。
以下に、
このたびの調査報告書(詳報)から、そのことに触れている部分を、
抜粋してみました。
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東京医科大学・調査報告書(詳報)からの抜粋
2018年度一般入試では、2次試験の小論文では、点数(満点100点)
に、全員0.8の係数をかけ、属性に従い、次のように加点した。
現役男子・・・・・20点
1浪男子・・・・・20点
2浪男子・・・・・20点
3浪男子・・・・・10点
4浪男子・・・・・ 0点
女子・・・・・・・・ 0点
4浪男子および女子(現役・浪人問わず)は100点満点を取っても80点
の得点しか得られなかったこととなる。
小論文の採点において、全員の得点に係数をかけたうえで属性に応じた
一定の点数を加算することは、少なくとも2006年度入試から行われていた
ようである。
女性だからという理由だけで不利な得点調整を行うことに関しては、
女性差別以外の何物でもない。女性は年齢を重ねると医師としてのアク
ティビティーが下がるというのが理由のようであるが、昨今の状況に鑑み
ても、断じて許される行為ではない。
受験回数の少ない受験生を優遇することについても、そのような存在を
知らせることなく実施することは、受験生に対する背信行為であると断罪
せざるを得ない。
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一方、林芳正・文部科学相は、同8月7日。
東京医科大学の内部調査で、「入試不正」が認定されたことを受け、
日本全国の国立・公立・私立大学の、医学部・医学科を対象にして、
入試が公正に行われているかどうか「緊急調査」をする考えを、明らか
にしました。
また、野田聖子・女性活躍担当相も、同8月7日。
京都市で講演し、医学部がある日本全国の大学を対象にして、
女性差別がないかどうか、「実態調査」をする考えを示しています。
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以上、ここまで見てきて、私は思うのですが・・・
とても信じられないことが行われていました!
しかも、東京医科大学だけでなく、
日本全国の大学の医学部にたいして、同様のことが行われている
のではないかと、
政府側(すくなくても2人の大臣)は、疑いを持っています。
おそらく、日本の大学医学部の全体にたいして、
(女子が入りにくいなどの)そのような疑いが持たれても仕方がない
実情が、すでに数多く存在しているのでしょう。
これは今後、
「ものすごく大きな問題」に発展していくような気がしてなりません。
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