なかなか「老人」になれない
                               2018年7月15日 寺岡克哉


 西日本の豪雨被害により、7月14日現在で、死者が209人となりま
した。

 多くの場所で、洪水や土砂崩れが起こり、ものすごく甚大な被害です!

 これはもう、「地球温暖化による気候変動」の影響であるとしか、私に
は思えません。



 ところで地球温暖化が進むと、海水の温度が上昇し、それに伴って
海水の蒸発量も多くなります。

 そうすると、大気に含まれる水分の量が多くなり、「豪雨」が降るように
なるのです。

 今後、地球温暖化はさらに進んで行くので、さらに酷(ひど)い豪雨が
降るようになって行くのは、おそらく間違いありません。



 ところで気候が変動すると、過去に経験しなかったような高温、豪雨、
強風などが、どんどん発生するようにります。

 だから「気候変動」は、過去の経験がまったく役に立ちません!

 このことを、ほんとうに心から真摯(しんし)に受け止めて、

 たとえば「これぐらいなら、まだ大丈夫だ」などと言うような、過去の
被災経験を過信することなく、早め早めの避難を行なわなければなり
ません。

 そうしなければ、自分の命を守ることができないのです!



 このたびの豪雨でも、

 気象庁が24時間ぐらい前から「特別警報」を出して、「最大級の警戒」
を呼びかけていたのに、

 こんなに多くの死者が出てしまったのは、とても残念でなりません。



 この多くの死を、けっして無駄(むだ)にしないためには、

 今後、気象庁が「特別警報」を出したときには、それを絶対に軽く受け
止めずに、早め早めの避難をすることではないかと、

 そのように私は考えています。



        * * * * * * * * * *



 さて、

 私事(わたくし・ごと)で恐縮ですが、今年の7月13日で、55歳になり
ました。



 ちなみに、55歳といえば・・・ 

 私が大学生だった頃(今から35年ぐらい前)は、「定年退職の年齢」が、
ちょうど55歳でした。



 そして、さらに昔の時代では、

 40歳を過ぎると「初老(しょろう)」といい、50歳を過ぎれば「中老(ちゅう
ろう)」と言われ、

 私のように55歳ともなると、もう立派な「老人」の仲間入りでした。


              * * * * *


 ところで私は、

 周囲の人々から、いつまでも自分が若く見られるよりは、

 なるべく早く「老人になりたい」というか、「社会から老人として扱って
もらいたい」と、

 ずっと以前から思っていました。



 なぜなら「老人」になれば、

 地下鉄などの「優先席」に、気兼(きが)ねなく座ることができるし、

 医療費や交通費などで、さまざまな優遇(ゆうぐう)を受けることが
できるからです。


             * * * * *


 ところが!

 私が大学生だった時分(じぶん)には、55歳になれば「老人」に
なれると思っていたのに、

 だんだんと年数が経つに従って、どんどん「老人」が遠のいて行き
ました。



 そして今では、

 55歳ぐらいの年齢では、とても「老人」とは言えない時代に、なっ
てしまったのです。



 「定年退職」の年齢も、どんどん上がって行き、

 現在では、「65歳定年」というのが普通に聞かれるようになり、

 ごく近い将来には、「70歳定年」になってしまいそうです。



 ちなみに世間では、

 「生涯現役」などという、一見するとカッコイイ言葉が蔓延(はびこ)っ
ていますが、

 その本質的な意味は、「死ぬまで働け!」と言っているのに、
他(ほか)なりません。



 これでは、日本に暮らしている大部分の人たちは、

 充実した「老後の余生」を楽しむことが、できなくなってしまいそう
です。


            * * * * *


 以上のことから、

 これから先、私が70歳になっても、さらには80歳まで生きることが
できたとしても、

 なかなか「老人」になれないような気がしてなりません。



 さらに勘(かん)ぐれば、

 これは年金の支出を抑えるための、「国家の策略」ではないかとさえ、

 私は疑っている次第です。



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