アメリカと北朝鮮の首脳会談
                               2018年6月17日 寺岡克哉


 6月12日。

 アメリカのトランプ大統領と、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮
労働党委員長が、

 シンガポールの南部にあるセントーサ島で、首脳会談を行いました。



 実は、いま現在でも「朝鮮戦争」は終結しておらず、

 敵対関係にある両国の首脳が会談するのは、歴史上で初めてのこと
です!



              * * * * *


 さて、

 この歴史的な首脳会談で、一体どんな取り決めが、交わされたので
しょう?


 以下は、ロイター通信が同6月12日に報じた、

 アメリカと北朝鮮の首脳会談で署名された、トランプ大統領と金正恩
朝鮮労働党委員長による「共同声明」の全文です。


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 アメリカのドナルド・トランプ大統領と、北朝鮮の金正恩委員長の、
シンガポール会談での共同声明。


 アメリカのトランプ大統領と、北朝鮮の金正恩国務委員長は、初の
歴史的な首脳会談を2018年6月12日、シンガポールで開催した。

 トランプ大統領と金正恩委員長は、新たな米朝関係の樹立と、朝鮮
半島での恒久的で強力な平和体制を構築することについての問題に、
包括的で詳細かつ誠実な意見交換を行った。

 トランプ大統領は北朝鮮に安全の保証を与えると約束し、金正恩
委員長は朝鮮半島の非核化を完結するための固く揺るぎない約束を
再確認した。

 新たな米朝関係の樹立は朝鮮半島と世界の平和と繁栄に寄与する
と確信するとともに、相互の信頼醸成が朝鮮半島の非核化を促進でき
ると認識し、トランプ大統領と金正恩委員長は次のように宣言する。


(1)アメリカと北朝鮮は、平和と繁栄を求める両国民の希望通りに、
 新たな米朝関係の構築に向けて取り組む。

(2)アメリカと北朝鮮は、朝鮮半島での恒久的で安定的な平和体制の
 構築に向け、力を合わせる。

(3)北朝鮮は、2018年4月27日の「板門店(パンムンジョム)宣言」を
 再確認し、朝鮮半島の完全な非核化に向け取り組む。

(4)アメリカと北朝鮮は、戦争捕虜、戦闘時行方不明兵の遺骨の回収、
 すでに身元が判明している分の即時引き渡しに取り組む。


 トランプ大統領と金委員長は、史上初の米朝首脳会談が重要な意味
をもち、両国間の数十年に及ぶ緊張と敵対を乗り越えて新たな未来を
開く画期的な出来事であったと認識し、この共同声明の諸条項を全面的
かつ迅速に履行するよう努める。

 アメリカと北朝鮮は、米朝首脳会談の成果を履行するため、アメリカの
ポンペオ国務長官と北朝鮮側の対応する高官の主導による後続交渉
を、可能な限り早期に開催するよう努める。

 トランプ大統領と金委員長は、新たな米朝関係の発展と、朝鮮半島と
世界の平和、繁栄、安全の促進に向け協力すると約束した。

                                2018年6月12日
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 上の「共同声明」を見て、思うのですが・・・ 


 この声明には、

 かねてよりアメリカが北朝鮮に求めてきた、CVID(完全かつ
検証可能で不可逆的な非核化)や、

 日本人の「拉致問題」」については、盛り込まれていません。

 この意味では、「かなり不満な内容」であると、言わざるを得な
いでしょう。



 しかしながら、

 アメリカと北朝鮮の両首脳が、直接に顔を突き合わせたという
のは、

 やはり、「歴史的な出来事」であることは間違いなく、

 将来の平和につながる第一歩としては、けっこう良かったの
かもしれません。



 ではありますが、

 北朝鮮には、国際的な約束を反故(ほご)にしたという「前科」
があるので、

 まったく気を許して、心から北朝鮮を信頼するというのは、どうし
ても難しいでしょう。



 しかし、それでも、

 「トランプ大統領の顔に泥を塗って、本気で怒らせてしまったら、
(軍事衝突など)本当にどうなるか分からない!」

 というような恐怖心が、もしかしたら北朝鮮側にあるかもしれま
せん。



 もしも北朝鮮側が、トランプ大統領にたいして、そのような恐怖を
少なからず感じているのなら、

 これまでのように、国際的な約束を簡単に反故するようなことは、
やらないかもしれません。



 実際のところ、この先どうなって行くのかは、

 北朝鮮の「具体的な動向」を見ながら、判断して行くしかないので
しょうが、

 できるかぎり「平和の方向」へ進んで行ってほしいと、願ってやまな
い次第です。



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