ポケットティッシュを返した
2018年5月6日 寺岡克哉
今回は、
私の個人的で些細(ささい)な出来事について、ちょっと書いてみた
いと思います。
* * * * *
今から半月ほど以前のことになりますが、
いつも私が買い物をしているスーパーマーケットの、出入り口の
近くに、
スマートフォンを取り扱う会社(有名な大会社)の、ブース(スマホ
の説明を聞いたり、スマホの契約などができるコーナー)が、設けら
れていました。
そして、そのブースの前では、
今年の春に入社したと思われる若い女性が、ポケットティッシュを
配っていました。
私は、さっさとブースの前を通り過ぎようとしたのですが、
その女性がポケットティッシュを差し出したので、それを受け取って
しまいました。
べつに私は、ティッシュが欲しかったわけではありません。
しかしながら、その女性にも、全部のティッシュを配るという「ノルマ」
があるのだろうと思って、
善意のつもりで私はポケットティッシュを受け取ったのです。
そうしたら、その女性が、「当社のスマートフォンを使っていますか?」
と、話しかけてきました。
私は、「使っていません」と返事をしましたが、
そうすると、その女性は、「どこの会社のスマートフォンを使っています
か?」と、さらに話しかけてきたのです。
ところで、
そもそも私は、スマートフォンを持っていませんし、持ちたいとも思って
いません。
しかし、そのことを女性に説明するのが、ものすごく面倒に感じました。
それに、
もしも私が「スマートフォンは持っていない」と言えば、女性から「これを
機会に契約しませんか」と言われる恐れもあります。
そのとき私は咄嗟(とっさ)に、
ほとんど無意識的に、「これ返します」と言って、ポケットティッシュを
女性に返していました。
その女性は、返す言葉もなく、すこしキョトンとした顔をしていたように
思います。
そうして私は、そそくさと、その場から立ち去ったのでした。
* * * * *
おそらく、私が思うには・・・
その若い女性は入社したてで、一生懸命に仕事をしていたのでしょう。
ポケットティッシュを渡したからには、
その人間から少しでも会社に役立つ情報を取らなければならないし、
できればスマホの契約も取りたいと、はりきっていたのかも知れません。
もしかしたら私が、
その「やる気」をくじいてしまったかも知れないと思うと、ちょっと可哀そう
な気もしました。
その女性にとっては、
いちど人に渡したポケットティッシュを返されたなど、初めてのことだった
かも知れません
これに懲(こ)りずに、仕事を頑張ってほしいと思います。
* * * * *
ところで、このたび紹介した出来事は、まったく些細(ささい)なこと
です。
が、しかしながら、
いちど貰(もら)ったポケットティッシュを返すというのは、これまで
私は考えたこともなく、
いちおう私にとっては、「生まれて初めての出来事」だったのです。
それでちょっと、この場に書き留めておきたいと思った次第です。
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