飛蚊症になりました
                               2018年4月8日 寺岡克哉


 今から2週間ほど前・・・ 

 私の部屋で机に向かっていると、右側の白い壁に、5センチメートル
ぐらいの黒い虫が這(は)っているのが見えました。

 しかし、その虫は、とても素早く動くので、

 視線を虫の方に向けても、すぐにどこかへ消えてしまい、その姿を
確認することが出来ませんでした。



 その後、

 5センチほどの黒い虫は、毎日のように右側の壁に現われましたが、

 けっこう大きな虫なのに、ゴキブリやゲジゲジよりも素早く動き、まった
く姿が確認できないので、すこし気味悪く感じていました。



 そして、初めて虫を見てから1週間ほど経ったころ・・・ 

 どうやら、それは虫ではなく、

 私の右目の中で、黒くモジャモジャとした毛のようなものが、フワフワ
と漂(ただよ)っていることに、気がつきました。


 つまり、

 黒い虫のようなものが見えたのは、私の目の異常が、原因だったの
です。


              * * * * *


 それで、ちょっとインターネットで調べてみたら、

 どうやら「飛蚊症(ひぶんしょう)」というもので、あるらしいことが分か
りました。


 この「飛蚊症」は、多くの場合、

 「加齢によって起こる生理的なもの」であり、心配する必要はないそう
です。



 しかし!

 飛蚊症の一部には、治療が必要になる重大な病気の「前触れ」である
ものもあり、

 飛蚊症を自覚したら、いちど眼科で診察を受けた方がよいみたいです。



 と言うことなので、近所にある眼科で診(み)てもらうことにしました。


             * * * * *


 眼科に行くと、やはり「飛蚊症(ひぶんしょう)」であるとのことでした。



 そして、急に飛蚊症が起こったときは、

 「後部硝子体剥離(こうぶしょうしたいはくり)」というのが、起こった
可能性があるとのことでした。



 ちなみに「後部硝子体剥離」そのものは、加齢によって起こるもので、
とくに病気というわけではありません。

 しかし中には、後部硝子体剥離にともなって、

 「網膜剥離(もうまくはくり)」や、「硝子体出血(しょうしたいしゅっけつ)
つまり目の中での出血」など、治療の必要な症状が起こっている可能性
もあるので、

 「眼底検査(がんていけんさ)」というのを、やる必要があるとのことで
した。



 「眼底検査」は、瞳孔(どうこう)を広げる目薬を使って、目の奥を詳しく
調べるものですが、

 薬を点眼してから瞳孔が開くまでに、30分ぐらいの時間がかかり、

 その後さらに、目の奥を詳しく観察して調べるので、思ったより時間
がかかりました。



 しかし、少しぐらい時間がかかっても、

 眼底検査を行った結果、「網膜の異常」や「目の中での出血」などが
起こっていなかったので、

 とても安心することが出来ました。



 しかしながら、

 目の中に漂う「黒い虫のようなもの」は、薬などで除去することが
できないので、

 「飛蚊症とは一生つき合って行かなければならない」と、眼科で
言われました。



 また、今後、

 ふたたび新たな飛蚊症が起こったときや、「ピカピカ」と光るものが
見えたときは、

 新たに「後部硝子体剥離(こうぶしょうしたいはくり)」が起こった
可能性があるので、

 そのような時は、また診察を受けに来てほしいと言うことでした。


             * * * * *


 このたび私が飛蚊症になって、ちょっと思ったのですが・・・ 


 大昔の人々が存在すると信じていた、「物の怪(もののけ)」や
「妖怪」というものの中には、

 もしかしたら「飛蚊症」が原因だったものも、あったのかも知れませ
んね。



 実際に飛蚊症になってみると、

 何やら正体が分からない「毛むくじゃらの黒いもの」が、「パッ」と
現れては、「スッ」と消えてしまうので、

 私でさえ、すこし「ギョッ」として、気味悪く感じてしまったぐらいです。



 いわんや、「飛蚊症」」の知識が無かった大昔の人々には、

 それを妖怪の類(たぐい)であるとしか、恐らく解釈できなかったの
では、ないでしょうか。


 何となく、そんなことを想像してみた次第です。



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