安倍首相の外交方針
2018年1月28日 寺岡克哉
ここのところ、本サイトで連載して取り上げているテーマですが、
北朝鮮の核・ミサイル開発が進んで脅威が高まる中、
トランプ大統領の、たび重なる「愚かな発言」によって、アメリカが
国際社会から孤立しつつあります。
そんな状況において、いったい日本は、どんな外交を行えば良い
のでしょう?
北朝鮮への対応は?
このままベッタリと、アメリカに追従(ついじゅう)して良いのか?
近ごろ私は、このような疑問を持っていたのです。
そんなとき、
1月22日に、安倍首相が施政(しせい)方針演説を行いました。
そして、その演説の中では、「外交方針」についても取り上げて
いたのです。
なので今回は、
北朝鮮とアメリカにたいする、「安倍首相の外交方針」について、
見て行きたいと思います。
* * * * *
まず、
北朝鮮への対応ですが、これについて安倍首相は、施政方針演説で
以下のように述べています。
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北朝鮮の核・ミサイル開発は、これまでにない重大かつ差し迫った脅威
であり、わが国を取り巻く安全保障環境は、戦後、最も厳しいと言っても
過言ではありません。
北朝鮮に、完全、検証可能かつ不可逆的な方法で、核・ミサイル計画
を放棄させる。そして、引き続き最重要課題である拉致問題を解決する。
北朝鮮に政策を変えさせるため、いかなる挑発行動にも屈することなく、
毅然とした外交を展開します。
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また安倍首相は、北朝鮮の問題に関連して、以下のようにも述べて
います。
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厳しさを増す安全保障環境の現実を直視し、イージス・アショア、スタン
ドオフ・ミサイルを導入するなど、わが国防衛力を強化します。
年末に向け、防衛大綱の見直しも進めてまいります。専守防衛は当然
の大前提としながら、従来の延長線上ではなく国民を守るために真に必要
な防衛力のあるべき姿を見定めてまいります。
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以上を見ると、安倍首相は、
「平和的な話し合い」というよりは、「軍備増強による圧力の強化」に
よって、
北朝鮮の核・ミサイル開発を、放棄させようと考えているみたいです。
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つぎに、
アメリカにたいする安倍首相の外交方針ですが、施政方針演説では
以下のように述べています。
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わが国の外交・安全保障の基軸は、これまでも、これからも日米同盟
です。
トランプ大統領とは、電話会談を含めて20回を超える首脳会談を行い
ました。個人的な信頼関係の下、世界のさまざまな課題に、共に、立ち
向かってまいります。
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また、安倍首相は、
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北朝鮮による挑発がエスカレートする中にあって、あらゆる事態に備え、
強固な日米同盟の下、具体的行動を取っていく。
日米の緊密な連携の下、高度の警戒態勢を維持し、いかなる事態に
あっても、国民の命と平和な暮らしを守り抜いてまいります。
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と、述べており、さらに安倍首相は、
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3年前、私たちは平和安全法制を成立させました。北朝鮮情勢が緊迫
する中、自衛隊は初めて米艦艇と航空機の防護の任務に当たりました。
互いに助け合うことのできる同盟は、その絆を強くする。皆さん、日米
同盟は、間違いなく、かつてないほど強固なものとなりました。
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とも、述べています。
以上を見ると、
安倍首相は、いくらアメリカが世界から孤立しつつあっても、
これまでと変わらず、アメリカにベッタリの外交方針を貫(つらぬ)く
みたいです。
ところで、とくに私が気になったのは、
上で太字にした部分の、「いかなる事態にあっても」という言葉です。
この言葉から、
「安倍首相は、アメリカと北朝鮮との軍事衝突が起こっても、仕方が
ないと考えているのではないか?」
という疑念を、私は持ってしまいました。
すくなくても、このたびの施政方針演説を見るかぎり、
「アメリカと北朝鮮との軍事衝突を、是が非でも回避するように、アメ
リカに対しても強く働きかける」
と、いうような安倍首相の意思は、まったく感じることができません
でした。
つまり、
ちょっとモヤモヤとしているのですが、いまの私の気持ちを、もう少し
明確に具体的に言ってみると、
安倍首相は、アメリカと北朝鮮との軍事衝突を、必死になって
阻止するつもりは、ないのではないか?
そして軍事衝突が起こったら、あくまでもアメリカに追従(つい
じゅう)して、日本も戦争に巻き込むつもりではないのか?
そのために、今から日本の軍備を増強しようと、しているのでは
ないか?
というような疑念を、どうしても払拭(ふっしょく)することが出来ないの
です。
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