北朝鮮リスクが増大 7
                             2017年10月22日 寺岡克哉


 10月16日。

 アメリカと韓国の、両国海軍による、合同軍事演習が始まりました。



 この軍事演習は、北朝鮮をけん制することが狙いで、

 朝鮮半島を取り囲むように、東側の日本海と、西側の黄海で実施
されました。



 演習には、アメリカ海軍の原子力空母ロナルド・レーガンや、韓国の
イージス艦など、40隻以上の艦艇(かんてい)が参加しており、

 海軍の合同軍事演習としては、過去最大規模のものとなりました。


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 そのような大規模な軍事演習が行われているなか、同10月16日。

 北朝鮮のキム・インリョン国連次席大使は、国連総会の軍縮委員会
で演説し、

 朝鮮半島の情勢について、「一触即発の時点にまで達しており、
核戦争はいつでも起こり得る」と警告しました。



 その上で、

 「アメリカ本土全体が我々の射程圏内にあり、もしアメリカが我々の
神聖な領土を1インチでも侵略すれば、地球のどこにいても厳罰は
避けられない」と、強調しました。



 さらに、キム次席大使は、

 「アメリカの敵視政策と核による脅しが完全に排除されない限り、
いかなる状況でも我々は核兵器や弾道ロケットを交渉のテーブルに
置くことはない」と述べて、アメリカをけん制しています。



 また、キム次席大使は、

 「北朝鮮に対する、アメリカ軍の軍事行動に参加しない限り、我々は
他の国に核兵器を使用するつもりはないし、核兵器を使用すると脅か
すつもりもない」と、発言しました。


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 日本では、衆議院選挙戦の真っただ中でしたが、

 朝鮮半島の情勢は、以上のように、ものすごく緊迫した状態になって
いました。



 しかしながら、

 アメリカと韓国による合同軍事演習が、10月20日に終了したので
すが、

 それまでの間に、北朝鮮は1発のミサイルも発射しませんでした。



 なので北朝鮮は、

 軍事的な挑発を、少しは自制しているように、見えなくもありません。



 しかし、そうではありますが、

 「嵐の前の静けさ」という可能性も考えられますし、

 あるいは、何らかのアクシデントや誤解などがキッカケとなって、

 いつ何時、いきなり軍事衝突が勃発するとも限りません。



 そのため残念ながら、いま現在においても、

 北朝鮮の情勢は、「まったく安心できる状態ではない」というのが、

 正直なところではないかと思わざるを得ません。



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