衆議院が解散
2017年10月1日 寺岡克哉
9月28日の正午すぎ。
衆議院の本会議で、大島理森(おおしま ただもり)議長が、
「日本国憲法第7条(注1)により、衆議院を解散する」と、解散詔書
(しょうしょ)を読み上げてから、
議員たちが万歳三唱し、衆議院が解散しました。
------------------------------
注1 7条解散:
憲法7条の「内閣の助言と承認」により、天皇の国事行為として行なわ
れる、衆議院の解散です。
天皇に助言をする内閣には、独自の解散権があるとの考えで実施する
ことから、「7条解散」と呼ばれています。
ところで、
首相の解散権行使は、「憲法69条が定める内閣不信任決議案の可決
か、信任決議案否決の場合に限られる」という議論がありました。
が、しかしながら、
1952年の吉田内閣による「抜き打ち解散」以降、7条解散が定着する
ようになったと言います。
ちなみに、
現行の憲法下での解散は、今回をふくめて24回になりますが、そのうち
内閣不信任決議を受けた解散は、たった4回しかありません。
------------------------------
* * * * *
ところで、私は思うのですが、
北朝鮮情勢が緊迫している、この国家の緊急時に、
安倍首相は、よくも衆議院を解散したものです。
もしかしたら、
国家の緊急時だからこそ、自民党に大量の票が集まるとでも、
目論(もくろ)んでいるのでしょうか。
そしてまた、選挙に勝利した暁(あかつき)には、
北朝鮮情勢が緊迫している、この機に乗じて、
憲法改正の議論を、一気に進めるつもりではないでしょうか。
安倍首相が、「国難突破解散」などと述べたところを見ると、
どうも私には、そのように思えてならないのです。
* * * * *
解散を決意した当初、おそらく安倍首相は、
北朝鮮情勢が緊迫していることを、大々的に国民に訴えれば、
選挙戦での自民党の圧勝は、間違いないと思っていたに違い
ありません。
ところが!
小池百合子・東京都知事が代表となり、「希望の党」が立ち上が
りました。
さらには、
民進党が「事実上の解党」となり、その議員の多くが、希望の党
の公認候補になろうとしています。
また、さらには、
自由党の小沢・代表は、希望の党に合流する方針を示しており、
「日本維新の会」の代表である松井・大阪府知事は、希望の党と
選挙協力をすることで合意しました。
つまり、
非自民でかつ反共産の立場をとる議員たちが、小池・都知事を
中心にして一つにまとまり、
自民党と対立する大きな勢力をつくる動きが、急激かつ活発に
起こっているのです。
おそらく安倍首相は、
このような大きな動きが、こんなに急激に起こるとは、想定して
いなかったのではないかと思います。
ところで、
希望の党が、自民党よりも良い政党なのか、それとも悪い政党な
のか、いま現在のところ、まったく分かりません。
しかしながら、希望の党の誕生によって、
つぎの選挙で自民党が獲得できる議席数が、解散前の議席数
よりも減ることは、おそらく間違いないでしょう。
つまり、
ほんとうに、まじめに本気で、「国難」を突破するのならば、
与党が大多数を占めて安定していた衆議院を、あえて解散する
必要はまったくなく、
結果として、
「この国難のときに、要(い)らぬ解散をして、自民党の議席を減ら
すことになった」と、非難を浴(あ)びるようになり、
安倍首相にとって、けっこう「致命的な失敗」になる可能性が高いの
ではないかと、
なんとなく私は、このたびの衆議院解散に対して、そのように感じて
いる次第です。
目次へ トップページへ