北朝鮮リスクが増大 4
2017年9月10日 寺岡克哉
前回の最後に、ちょっとだけ触れましたが、北朝鮮国営の朝鮮中央
テレビが9月3日。
アメリカ本土を狙うICBM(大陸間弾道ミサイル)搭載用の水爆実験
に、「完全に成功した」と発表しました。
朝鮮中央テレビは、この水爆実験が、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮
労働党委員長の指示で行なわれたと報じており、
爆発力などが設計した値に達していて、核弾頭の動作の信頼性が
確認されたとしています。
その上で、
「核武力を完成する目標を達成する上で非常に意義がある」と、主張
しました。
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一方、韓国の気象庁によると、9月3日の午後0時29分ごろ。
北朝鮮の東北部にある豊渓里(ブンゲリ)付近を震源とする、マグニ
チュード5.7の人工地震を観測しました。
これは、北朝鮮の核実験による地震の規模として、「過去最大」だった
といいます。
また、日本の小野寺・防衛相は同9月3日。
このたびの爆発の規模は、「(TNT火薬に換算して)70キロトンになる
と考えられる」と、述べました。
しかし後日、9月6日に小野寺・防衛相は、
CTBTO(包括的核実験禁止条約機構)による、最終的な分析結果を
受けて、
爆発規模の推定を、(TNT火薬に換算して)およそ160キロトンに、
上方修正しています。
ちなみに、
1945年に広島に投下された原爆の規模は、(TNT火薬に換算して)
16キロトンでした。
それに比べて、このたびの核実験の爆発規模は、その10倍にもなり、
小野寺・防衛相は、「(原爆ではなく)水爆実験であった可能性も否定
できない」と、述べています。
* * * * *
ところで!
スイスのジュネーブで開かれている軍縮会議で、9月5日。
このたび核実験を行った北朝鮮にたいして、日本やアメリカなど、
30ヵ国以上の国々から「非難の声明」が相次ぎました。
しかし、これに対して、
北朝鮮の韓大成(ハン・デソン)大使は、「誇るべき報告がある」と述べ
た上で、
「大陸間弾道ミサイル用の水素爆弾の実験が成功した。核戦力を完成
させるという目標を達成し、強力な核抑止力を得た」と、強調しました。
さらに韓大成(ハン・デソン)大使は、たび重なるミサイルの発射と核実験
について、
「アメリカからの核の脅威に対する、自衛のための行動だ」
「これらの行動は、ほかならぬアメリカに向けての ”贈り物” であり、アメ
リカには今後もわが国から ”贈り物” が届けられるだろう」
と述べて、今後においても、核弾頭やミサイルの開発を続けると主張して
います。
* * * * *
9月9日。 北朝鮮は、69回目の建国記念日を迎えました。
朝鮮労働党の機関紙である「労働新聞」は、同日付けの1面に社説を
掲載し、
「わが国は原爆や水爆とともに、ICBM(大陸間弾道ミサイル)まで保有
する核強国の地位に堂々と上りつめた」
として、このたびの核実験を、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員
長の業績としてたたえ、
核弾頭やミサイルの開発にたいする進展ぶりを誇示しています。
* * * * *
以上、ここまで見てきましたが、
世界中の国々から非難を受けているにもかかわらず、
北朝鮮は、核弾頭やミサイルの開発を、まったく止(や)めようとしま
せん。
これから先、一体どうなって行くのでしょう・・・
最悪の場合は、アメリカと北朝鮮との「軍事衝突」が起こってしまうの
でしょうか?
もしも、そうなってしまったら、
わが国の日本も、大変な事態になるのは絶対に間違いありません。
そうならないこと(軍事衝突が起こらないこと)を祈るのみですが、
いま現在においても、アメリカと北朝鮮との「妥協点」が、まったく
見えていないと言うのが実情です。
なので、
「刻一刻と、軍事衝突の勃発(ぼっぱつ)に近づいているのでは
ないか」
というような恐れや不安が、掻き立てられてしまう毎日です。
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