トランプ大統領 「炎と怒り」
                              2017年8月13日 寺岡克哉


 アメリカのトランプ大統領は8月8日。

 ニュージャージー州のゴルフ場で記者団にたいし、

 「北朝鮮は、アメリカをこれ以上脅さない方がいい」と述べて、

 「世界史的にも類を見ない炎と怒り、率直に言えば力によって
報いを受けることになる」と、警告しました。



 これは、アメリカ紙のワシントン・ポストが同日の8月8日。

 アメリカ国防総省の諜報機関であるDIA(国防情報局)の分析
を引用して、

 「北朝鮮はICBM(大陸間弾道ミサイル)級のミサイルに搭載
可能な、小型核爆弾の生産に成功した」

 と報じたことを、受けたものと見られます。



 ただし、

 トランプ大統領が「炎と怒り」の発言に先立って、主要同盟国や
国防総省および国防省と、事前に調整をしていたかどうかは不明
です。

 また、

 「炎と怒り」が通常兵器による大規模な攻撃を意味するのか、
あるいは「核兵器の使用」を意味するのかも、明らかにされていま
せん。



 ホワイトハウスの、コンウェイ大統領顧問は、

 トランプ大統領が発した「北朝鮮への警告」について質問を受け
ましたが、

 それに対して、「力強く明白な発言だ」と述べています。


            * * * * *


 一方、

 朝鮮人民軍の金絡謙(キム・ラクキョム)戦略軍司令官は、8月10日
に朝鮮中央通信を通じて声明を発表し、

 北朝鮮が「中距離戦略弾道ミサイルの ”火星12” を、同時に4発
発射し、アメリカ領グアム島への包囲攻撃を行う計画を真剣に検討
している」

 と、述べました。



 この声明によると、

 「火星12」は、日本の島根県、広島県、高知県の上空を通過し、

 17分45秒の間に、3356.7キロメートルの距離を飛行して、

 グアム沖30キロ~40キロメートルの海域に着弾するとしていま
す。



 また、ミサイル発射については、

 8月の中旬までに、計画を最終的に完成させ、

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に報告をした上で、

 「発射待機態勢で命令を待つ」としています。



 ちなみに、

 朝鮮中央通信は、8月8日のトランプ大統領の警告に対して、

 「 ”炎と怒り” などという馬鹿げた発言を繰(く)りだし、重大な現状
が把握できていない。そのことが朝鮮人民軍の砲兵の逆鱗(げきりん)
に触れた」と、報じており、

 「あのような理性を欠く男との平静な対話は不可能。彼に対しては
決定的な武力しか通用しない」と、伝えています。


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 この、

 北朝鮮のミサイル発射計画に対して、アメリカのトランプ大統領は
8月10日。

 ニュージャージー州において記者団を前にし、「グアムに対して何か
すれば、誰も見たことのないような事態が北朝鮮で起きることになる」
と警告し、

 軍事力で報復する考えを、つよく示唆しました。



 またトランプ大統領は、先に発した「炎と怒り」の警告について、

 「厳しすぎると言う人もいるが、まだ厳しさが足りなかったかもしれ
ない」と反論しました。

 しかしながら、

 「さらに厳しい対応」の中身を示しておらず、北朝鮮に先制攻撃を
仕掛ける可能性についての言及も避けています。



 その一方で、トランプ大統領は、

 北朝鮮との交渉に関しては「いつも考えている。交渉は25年もやっ
てきた」と指摘して、

 「クリントン(元政権)の交渉は弱腰で効果がなく、オバマ(前政権)
は話すらしたがらなかったが、私は話す。誰かがやらなければなら
ない」と、語っています。


             * * * * *


 8月11日。

 トランプ大統領は、滞在先のニュージャージー州で記者団にたいし、

 「北朝鮮の指導者がグアムや他のアメリカ領、同盟国に対して何か
すれば、彼は心から、そして直ちに後悔することになる」と述べて、

 北朝鮮から攻撃を受ければ、即時に反撃すると警告しました。



 また、トランプ大統領は同日。

 ツイッターに「北朝鮮が無分別に行動した場合の軍事的解決の準備
は万全で、臨戦態勢にある」と、書き込んでいましたが、

 この投稿に関して記者団に、「言葉通りの意味だ」と説明しました。

 そして、「(北朝鮮指導部が)言葉通りに理解することを望む。極めて
簡単に理解できる言葉だ」と語りました。



 ちなみに、

 記者団から、「アメリカは戦争するつもりか」と質問されましたが、

 トランプ大統領は、「あなたは答えを知っているだろう」と、意味深な
言葉を返しています。


             * * * * *


 以上、ここまで見てきましたが、ものすごく大変な状況になってい
ます!



 もちろん日本にとっても、すごく深刻な状況になっており、

 北朝鮮による弾道ミサイルの発射予告を受けて、防衛省は8月12日。

 ミサイルが上空を通過する可能性がある、中国・四国地方の4ヵ所に
たいして、

 PAC3(地対空誘導弾パトリオットミサイル)を展開し、配備を完了させ
ています。



 日本の防衛省が、このような措置(そち)をとった理由は、

 もしも、北朝鮮のミサイルに不具合が生じた場合、

 日本国内に、ミサイルやその一部が落下する可能性も、完全には
排除できないからです。



 もう、本当に・・・ 

 北朝鮮とアメリカには、これ以上の挑発合戦を止(や)めてもらい
たいと、私は声を大にして言いたいと思います。

 この問題が、どんどんエスカレートして行くのは、ものすごく心配で
たまりません。

 この先どうなって行くのか、まったく目が離せない状況になって
います!




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