全国的に「異常」な大雨
                              2017年7月30日 寺岡克哉


 今年の7月は、九州から北海道まで、全国的に大雨が降りました。

 ほんとうに「異常な気象」だと、言わざるを得ません。


             * * * * *


 まず、

 7月5日~6日にかけて、九州の福岡県と大分県で、猛烈な雨が
降り続きました。

 7月6日の昼前までの24時間に降った雨の量は、福岡県の朝倉市
で545ミリを越え、大分県の日田市でも370ミリに達しています。



 上のいずれも、

 平年の7月の、1ヶ月分の雨量を大幅に超える「記録的な豪雨」で
あり、

 気象庁は7月19日に、「平成29年7月九州北部豪雨」と名付けま
した。



 7月20日の時点ですが、

 この豪雨によって亡くなった人は、福岡県で32人、大分県で3人の、
合わせて35人となっています。

 また、その他に、6人が行方不明となっています・・・ 


            * * * * *


 7月14日には、愛知県や岐阜県で大雨が降りました。


 愛知県の犬山市では、午前10時40分までの1時間で、120ミリ
の降水を観測し、

 土砂災害の恐れがあるとして、同市全域に避難指示が出されま
した。

 対象は3万世帯の、およそ7万5000人で、市内の45ヶ所に避難
所を開設しています。



 また、

 岐阜県の美濃加茂市でも、14日の午前に、

 観測史上で最大となる、1時間に89.5ミリの雨が降りました。


           * * * * *


 7月21日~22日には、北海道の南部で大雨が降りました。


 22日の午前9時までの24時間で、函館市の川汲(かっくみ)で
87ミリ、渡島管内の森町で85.5ミリの降水を観測しました。


 函館市は81.5ミリで、7月として「観測史上最大の降水量」と
なっています。


 また室蘭市では、63ミリの降水を観測しました。


         * * * * *


 7月22日~23日には、秋田県で大雨が降りました。


 22日未明の降り始めから、23日午前3時までの降水量が、

 秋田空港で348.5ミリ、横手市で314.5ミリ、秋田市の雄和で
304ミリなど、

 秋田県内の各地で、平年の7月1ヶ月分を大幅に超える、記録的
な豪雨となっています。



 秋田県が7月24日の午前10時までにまとめたところ、

 横手市で住宅の半壊が1棟、大仙市などで床上浸水が130棟、
床下浸水が355棟に上っています。


          * * * * *


 7月23日~24日には、新潟県で大雨が降りました。


 新潟県の佐渡市・相川で、平年の7月1ヶ月の1.3倍に近い、
219ミリの雨量に達したほか、

 新潟県の村上市・高根で223ミリの雨が降り、

 新潟県の胎内市では、平年の7月1ヶ月分のおよそ8割にあたる、
170ミリの雨が降りました。



 この大雨について、気象庁は7月24日の昼前に、

 「佐渡市では50年に1度の記録的な大雨となっている」という情報
を発表しています。



 また、7月24日には、

 福井県のおおい町で、午後8時10分までの1時間に45.5ミリの
激しい雨が降りました。


         * * * * *


 7月26日には、岐阜県で大雨が降りました。


 岐阜県の中津川市・付知(つけち)付近で、午後7時20分までの
1時間に、およそ120ミリの激しい雨が観測されました。

 また、

 同市・加子母(かしも)付近でも、午後7時までの1時間で、およそ
100ミリの激しい雨が観測されています。


 岐阜地方気象台は、「記録的短時間大雨情報」を出して警戒を
呼び掛けました。


           * * * * *


 7月28日には、東北の宮城県や福島県、そして九州の熊本県で
大雨が降りました。


 宮城県の白石市では、午後8時半までの1時間に、33ミリの激しい
雨を観測したほか、

 福島市では、午後7時5分までの1時間に、71ミリの非常に激しい
雨を観測しています。



 また、

 熊本県の小国町付近では、午後7時10分までの1時間に、およそ
110ミリの猛烈な雨が降ったと見られており、

 気象庁は「記録的短時間大雨情報」を発表しました。


           * * * * *


 7月29日には、愛知県、神奈川県、岡山県で大雨が降りました。


 愛知県の名古屋市・名東区付近では、午後6時半までの1時間に、
およそ100ミリの猛烈な雨が降ったと見られており、

 気象庁は「記録的短時間大雨情報」を発表しました。



 また、

 神奈川県の川崎市では、午後6時までの1時間に、58ミリの非常
に激しい雨を観測したほか、

 岡山空港では、午後6時50分までの1時間に、48ミリの激しい雨
を観測しています。


             * * * * *


 以上、ここまで見てきましたが、

 本当に、本当に、「異常」な気象であると言わざるを得ません!

 日本各地における、浸水や土砂崩れなどの「被害」となると、

 もう、ここでは書ききれないほど、たくさん発生しています。



 ところで「異常」といえば、

 このたびの異常気象に関する、テレビの報道番組を見ていて、

 私には、ものすごく「異常」に感じることがありました。



 それはつまり、

 気象の専門家や解説者も、報道番組のアナウンサーや司会者も、
あるいはインタビューを受けている被災者の人たちも、

 このたびの異常気象について、「地球温暖化による気候変動が
原因ではないのか」


 と、いうような類(たぐい)の発言を、まったくしないのです。



 (私が見ていないだけかも知れませんが)なぜテレビの報道番組で
は、「地球温暖化」という言葉が一切(いっさい)出てこないでしょう?

 少なくても、

 数多く行なわれている、被災した人たちや避難している人たちへの
インタビューの中から、

 「やっぱり地球温暖化が原因ですかね」というようなコメントの、1つ
や2つぐらい出てきても、まったく不思議ではないと思うのですが、

 そのようなコメントを、私は全くテレビで見たことがありません。



 それが私には、

 なんだか薄気味が悪くなるほど、ものすごく「異常」に感じてしまうの
です。



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