G7環境相会合
                              2017年6月18日 寺岡克哉


 6月11日と12日。

 イタリアのボリョーニャで、G7(先進7ヵ国 ※注1)環境相会合
が開かれました。

----------------------------
※注1 G7(Group of Seven 先進7ヵ国):

 日本、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアの
7ヵ国です。
----------------------------



 この会合は、

 アメリカのトランプ大統領が、「パリ協定からの離脱」を表明して
以降で、

 初めて、G7の環境政策を担当する閣僚が、顔を合わせることに
なりました。


           * * * * *


 ちなみにアメリカからは、

 EPA(環境保護局)の、プルイット長官が出席しましたが、

 同長官は、温暖化対策に批判的な立場をとっています。



 しかも、

 G7環境相会合は、2日間の日程で行なわれたのですが、

 プルイット長官は、1日目の途中で帰国してしまいました・・・ 



 パリ協定からの離脱スケジュールや、

 アメリカ政府における、今後の温暖化対策の具体的な方針にも、

 プルイット長官は、まったく言及しかったといいます。


           * * * * *


 このように、今回のG7環境相会合は、

 なんとも気合いの入らないものに、なってしまいました。

 しかしそれでも、辛(かろ)うじて、「共同声明」を採択すること
が出来たみたいです。



 以下は、その「共同声明」の要旨です。

----------------------------
○日欧カナダの6ヶ国は、パリ協定の迅速で効果的な履行への
 強い姿勢を再確認する。

○米国は強い経済を守りながら、(温暖化対策で)主要な国際
 社会のパートナーと連携を続ける。

○パリ協定が世界から受けている支持を歓迎する。

○パリ協定は後戻りできず、社会や経済の安全、繁栄にとって
 カギになる。
----------------------------



 ところで、

 上の要旨の中で、2つ目の項目である、アメリカについての
件(くだり)は、

 声明の本文ではなく、その下に「脚注」として記載されました。

 「共同声明」であるのに、1国だけの主張が脚注に記載される
のは異例のことで、

 アメリカ以外の6ヶ国が、アメリカを孤立させることなく、何とか
して温暖化対策の枠組みにつなぎとめようと、

 「特別に配慮した形」となっているのです。



 しかし、その一方で、

 上の要旨の中の、4つ目の項目である、「パリ協定は後戻りで
きず」の件(くだり)は、

 「パリ協定の再交渉」を求めているトランプ大統領を、けん制
する内容となっています。


           * * * * *


 以上を見てきて、私は思うのですが・・・ 


 たとえば、

 まだトランプ大統領が誕生する前であった昨年の5月に、

 日本の富山市で行なわれた、G7環境相会合の共同声明では、

 (アメリカを含めた)7ヵ国が、「パリ協定実施へのリーダーシップ
を示す決意をする」

 と、高らかに謳(うた)っていました。



 このことから、

 やはり、アメリカのトランプ大統領が、

 温暖化対策の足を引っ張っていると言わざるを得ません!



 地球温暖化対策への世界的な取り組みにおいて、この、ものすご
く大切なタイミングで、

 ほんとうにアメリカ国民は、「最悪の大統領」を選んでしまったの
です。




      目次へ        トップページへ