アメリカが「パリ協定離脱」を表明
                              2017年6月11日 寺岡克哉


 アメリカのトランプ大統領は、6月1日にホワイトハウスで演説し、

 地球温暖化を防止するための国際的な枠組みである「パリ協定
(注1)」から、

 「離脱」することを正式に発表しました。



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注1 パリ協定:

 2015年12月にフランスのパリで行なわれた、第21回・気候変動
枠組み条約締約国会議(COP21)で採択された、国際的な協定。

 1997年に採択された「京都議定書」以来の、気候変動に関する
国際的な枠組みであり、2020年以降の地球温暖化対策を定めて
います。


 ちなみに「パリ協定」は、気候変動枠組み条約に加盟している
196ヵ国すべてが参加する枠組みとしては、世界初です。


 なお「パリ協定」では、排出量削減目標の策定義務化や、進捗(し
んちょく)状況の調査などには、法的な拘束力があります。

 が、しかし、それに違反した場合の罰則規定は設けられていま
せん。
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 トランプ氏は、大統領選挙のときから「公約」していたので、

 「やはり!」という感じしか、しませんが、

 とうとう「パリ協定からの離脱」を、正式に発表してしまいました。



 ところで、以前の「京都議定書」のときも、

 アメリカのブッシュ大統領が、2001年に離脱を表明したため、

 「アメリカの不参加」となってしまいました。



 もしも、2000年に行われた大統領選挙で、

 ブッシュ氏に僅差(きんさ)で敗れた、アル・ゴア氏(不都合な
真実の著者)が大統領になっていたら、

 アメリカが京都議定書から離脱するようなことは、絶対に起こら
なかったし、

 いま現在における、アメリカの温暖化対策も、ずいぶん進んで
いたと思います。



 どうも、こと「地球温暖化対策」にたいしては、

 アメリカ合衆国大統領の「めぐり合わせ」が、ものすごく悪いと

 言わざるを得ません。


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 しかしながら、トランプ大統領にとって残念なことに、

 パリ協定の離脱完了には、最短でも2020年の11月までかかる

 と言われています。



 なぜなら、パリ協定は昨年の11月に「発効」したのですが、

 「脱退の通告」は、発効から3年後の2019年11月から可能になり、

 さらに、その後、「手続き」に最低でも1年の歳月が必要だと言われ
ているからです。



 ちなみに、トランプ大統領は6月1日の演説で、パリ協定の「再交渉」
についても言及しましたが、

 ドイツ・フランス・イタリアの3ヵ国政府は、同6月1日に、「パリ協定の
再交渉はできない」とする共同声明を発表しています。


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 以上、ここまで見てきて私は思うのですが、

 アメリカは、「京都議定書」から離脱しただけでなく、

 「パリ協定」からも離脱するとは・・・



 ほんとうにアメリカは、

 一体どこまで、地球温暖化対策の足を引っ張ったら気が済む
のか!


 と、声を大にして叫ばずにはいられません。



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